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原発を造る側の責任と、消えた議事録

失敗のプロセスこそ周知徹底すべき

2018年3月15日(木)

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(前編はこちら「考え続けている。原子力発電は本当に危険か?」)

 一体なぜあのような事故が起きたのか。事故後、様々な意見が世間に溢れたが、実のところ責任は明確だ。「東京電力」の責任だ。一義にこれである。その上で、東電に安全性を高めるように指導できなかった経済産業省や文部科学省、さらには歴代政権の責任ということになる。

 なぜか。福島と同レベルの地震振動と津波に直面した、東北電力・女川原子力発電所は事故を起こさなかったからである。つまり、施設としての原子力発電所はあれだけの地震と津波に耐えるように設計することが十分に可能だった。前回のタイトルを引いて言えば「ちゃんと設計・運用されていれば、原子力発電は大地震に対しても危険とは言えない」のである。

東日本大震災に耐えた東北電力・女川原子力発電所(写真:ロイター/アフロ)

 東京電力はしていなかった地震・津波対策を、東北電力はなぜ行うことができたのだろうか。

女川原発を設計した技術者、平井弥之助

 原子力が日本に入ってきた1960年代、東北電力には平井弥之助(1902~1986)という技術系の副社長がいた。女川原発が建設された1970年代、すでに退任していた彼は東北電力の社内委員会委員として女川の安全設計に携わった。

 当初女川原発は海抜12mのところに建設されることになっていた。それを平井は14.8mまで上げさせた。原発は海水をポンプで汲み上げて冷却を行う。より海抜の高いところに建設すれば、それだけ強力なポンプが必要になり、建設にも運用にもコストがかさむ。しかし平井は頑として引かず、海抜14.8mを実現した。

 東日本大震災時、女川は高さ13mの津波に襲われた。しかも地震による地盤沈下で、女川原発は1mも地盤が低下していた。しかし14.8mで建設していたので13mの津波にも1mの地盤沈下にも80cmの余裕を残して耐え、事故を起こすことなく安全に停止した。

 平井弥之助は、 宮城県の沿岸に位置する柴田町の出身だ。東北の海沿いで、津波の怖さを実感しつつ育ったのである。東京帝国大学工学部土木工学科を卒業して東邦電力という電力会社に技術者として就職。その結果、彼の使命感は発電所の地震・津波対策へと向かった。新潟火力発電所の建設にあたっては地震時の地盤液状化対策に力を注ぎ、1964年の新潟地震では、地下10mにまで及ぶ液状化にも同発電所の施設は持ちこたえた。

コメント56件コメント/レビュー

大企業病については枚挙にいとまはないので割愛するとして、
私個人が東京電力とビジネスとして付き合っていて感じるのは、まさにこれ

意思決定は決して個人ではとらない(取れない)し、
会議で話していても上役の意向に帰結する様に話を進めるだけで
議論などは最初から求めていない節が散見される(都合悪い事は有耶無耶にすると言うか)

ちなみに、そういう視点で2007年の津波議論の際の話をすれば
津波想定は13mで把握はしていたんでしょうね
ただし、それを想定した場合の対策なんて考えても無理だと思いますよ
(真面目な想定をしたら廃炉しかなく、そんな意思決定は平時では不可能)
※結果論として罪深いだけ

なので、耐用年数(あと10年くらい)までは小手先の対策でお茶を濁して運用する
その意思決定は合理的ではあり、犯罪と呼べるものではないと思っています。

あと、女川と比較するのは当然だとは思いますが、
そんな比較をするなら1Fの5,6号機の方が安全に止まっているので、
極めて客観的に判断するなら、初期に作られた原発以外は東電運用でも安全
となってしまいます。
(と言うか軍用で扱えるように、よほど下手に扱わなければ問題にならない方式)

原子力と言うのはこうなった後でも未来の可能性としては非常に大きいので、
一定では研究・開発・運用は続けた方が良いと思っています。
が、難しいでしょうね。(2018/04/02 17:17)

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「原発を造る側の責任と、消えた議事録」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

大企業病については枚挙にいとまはないので割愛するとして、
私個人が東京電力とビジネスとして付き合っていて感じるのは、まさにこれ

意思決定は決して個人ではとらない(取れない)し、
会議で話していても上役の意向に帰結する様に話を進めるだけで
議論などは最初から求めていない節が散見される(都合悪い事は有耶無耶にすると言うか)

ちなみに、そういう視点で2007年の津波議論の際の話をすれば
津波想定は13mで把握はしていたんでしょうね
ただし、それを想定した場合の対策なんて考えても無理だと思いますよ
(真面目な想定をしたら廃炉しかなく、そんな意思決定は平時では不可能)
※結果論として罪深いだけ

なので、耐用年数(あと10年くらい)までは小手先の対策でお茶を濁して運用する
その意思決定は合理的ではあり、犯罪と呼べるものではないと思っています。

あと、女川と比較するのは当然だとは思いますが、
そんな比較をするなら1Fの5,6号機の方が安全に止まっているので、
極めて客観的に判断するなら、初期に作られた原発以外は東電運用でも安全
となってしまいます。
(と言うか軍用で扱えるように、よほど下手に扱わなければ問題にならない方式)

原子力と言うのはこうなった後でも未来の可能性としては非常に大きいので、
一定では研究・開発・運用は続けた方が良いと思っています。
が、難しいでしょうね。(2018/04/02 17:17)

松浦さんのまじめさは分かるものの、申し訳ないがこのような論考は
害にしかならないと思う。
問題は目指すべき道が全く書かれておらず、単に「あの時こうして
いれば」「もっと安全な原発を作っていれば」「放射性物質に
対して国民がもっと知識を持っていれば」というたらればをならべ、
現実を肯定しているだけとしか見えない。
たらればはあと知恵であり、どんなに事前に準備しても事故や災害
は起きるときには起きる。問題は事故が起きた場合の「とりかえしの
つかなさ」で、それを考えれば原発という技術は放棄せざるを得ない
と考える。
同じ現実論にたつならば、橘川先生のように、あるべきゴールに向け
何を解決しなければならず、何を判断しなければならないか、を
明確にする論考をお願いしたい。(2018/03/29 21:54)

>おっしゃりたいことは、うちは大丈夫かもしれないから再稼働したい、なんですよね。

ものごとをそのようにしか捉えられないということが,すなわなち,「お話にならない」ということである。
「可能か,否か」「YesかNoか」と決めたがるが,科学的・工学的には「(今は)わからない」「(現時点では)判断できない」という答えが非常に多い。であるから,「Noではない」「『否』ではない」と答えると,「Noでなければ,Yesに違いない」「『否』でないならば,『是』であるに違いない」と,二者択一に受け取る。ほとんど例外無くである。それでは,話にならない。

別な例を上げよう。

「UFOを信じますか?」

これは,科学的・工学的には「正しい設問ではない」のだが,「その質問には答えられない」という回答を,これらの人々は許容しないのである。原発反対派の多くは,そのような人々である。
そして,「私は理系ではないから…」と逃げる。(2018/03/29 00:59)

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