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フランス人が繰り返しブームを起こす「格差論争」の正体

浜名優美・南山大学教授に聞く

2015年4月20日(月)

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「社会科学高等研究院の教授陣には、導きの光が多数存在していた」──。
 著書『21世紀の資本』がベストセラーとなったフランス人経済学者、トマ・ピケティ教授は、同書のまえがきにそう書いていた。社会科学高等研究院草創期の責任者だったフランスの歴史学者フェルナン・ブローデル(1985年死去)は、そんな「導きの光」の主要な1人である。今年の「ピケティブーム」のような「フランス発格差論争」は実は今回が初めてではなく、40年前にもブローデルが仕掛け、米国発でブームになった。ピケティ教授の格差研究にブローデルが及ぼした影響について、ブローデルの著書を数多く翻訳してきた浜名優美・南山大学教授に聞いた。(本稿の完全版を4月14日発売「2015-2016年版 新しい経済の教科書」に掲載しています)

(聞き手は 広野 彩子)

ピケティ教授の著書が世界的なブームになった背景に、フランス人の歴史家フェルナン・ブローデルが米国と日本で大ブームになったときと似た状況があるそうですね。浜名教授は、ブローデルの著作を翻訳してこられました。ブローデルは、ピケティ教授が挙げる「尊敬する研究者」の一人です。

浜名 優美(はまな・まさみ)氏
南山大学教授
1971年早稲田大学仏文科卒。77年、同大学院文学研究科博士後期課程満期退学。79年までパリ第3大学に留学。ブローデルの『地中海』を翻訳し、95年日本翻訳文化賞受賞。2000年、南山大学総合政策学部教授。現在、南山学園理事も務める。(写真=早川俊昭、以下同)

浜名優美(以下、浜名):ブローデルの『地中海』は、フランスの高等教育教授資格試験の課題図書になったこともあるぐらいで、フランスの学者の間でも繰り返し読まれている本です。

 ブローデルが爆発的に注目されたのは1975年、欧米経済が栄光の30年を過ぎて大変悪い状況に入った石油危機のころです。米国で著書『地中海』の英訳書が出たことがきっかけで、世界中で一大ムーブメントになったのです。

 例えば、『地中海』の第2部第5章には、こう書いてあります。

 「一方には召使いがありあまるほどいる貴族の家、(中略)他方には(中略)極貧の世界がある。(中略)こうした社会のなかで、生きるというのは何という絶望か!」

 また、米国の格差についても「すべての重要な決定を一手に握っている人間の驚くべき範囲の狭さ」などと著書で書き、批判的でした。

世界的な格差を問題視するブローデルの論考が、不況に苦しみ、格差に目が向けられ始めた、ちょうど40年前の米国でも大ブームになったわけですね。ピケティ教授も、2008年のリーマン・ショック以後、拡大し続ける格差の問題が注目を浴びるなかでの登場でした。

浜名:そうですね、書籍が大ヒットするための条件は、当時も今も変わっていないんでしょう。フランス語で出してもだめで、ブローデルもフランスでは当初さほど注目されなかったと思いますが、米国で英語版が出て、大ブレイクしたのです。

コメント3件コメント/レビュー

ブローデルとかアナール派とか大学で史学科だったので非常に懐かしかったです。(2015/04/20)

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「フランス人が繰り返しブームを起こす「格差論争」の正体」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ブローデルとかアナール派とか大学で史学科だったので非常に懐かしかったです。(2015/04/20)

日本の中流階級層が厚いことについては、稀有な例であり、どのように成立して、いかに維持しうるかについてを検討すべき重要な事例でもあります。学ぶべき点は多々あれど、米仏中などの断絶した階級社会そのものは否定されるべきです。(2015/04/20)

フランスにおける支配層と非支配層に関する格差については誰も指摘しないのかな?(2015/04/20)

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