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このままでは将来、日本は深刻なインフレに直面する

池尾和人・慶応大学経済学部教授に日本の異次元緩和の行く末を聞く

2015年4月17日(金)

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 「日経ビジネス」は4月20日号において英経済学者アディール・ターナー卿による「日本は紙幣増刷を恐れる必要はない」と題した論評を掲載した。主旨は「日本の場合、日銀がお金を刷って、そのお金で日本国債を買い上げるという、従来はタブー視されてきたマネタイゼーションをしても問題は発生しない」というものだ。昨年12月29日には米コロンビア大学教授のデビット・ワインシュタイン氏も日本経済新聞の「経済教室」の欄で同様の指摘をした。

 国内でもマネタイゼーションは問題ないとする主張を展開するリフレ派の経済学者が少なくないという。

 果たして本当に、2013年4月に始まった日銀による異次元緩和は日本経済にとって何ら問題がないのか、慶応大学経済学部教授の池尾和人氏に聞いた。

(聞き手は石黒 千賀子)

昨年10月に日銀が発表した追加緩和で、日銀による年間の国債買い入れ額は80兆円と、政府による新規国債発行額約50兆円を上回ります。ターナー氏は、「日銀が買い上げた国債を永久に保有し続ければ、日銀が保有する以外の債務の残高は減っていくことになる。これは明かにマネタイゼーションだ。従来の考えでは危険なインフレを招くことになるから中央銀行としてはタブーの措置とされてきた。しかし、満期を迎えた国債の資金で新たに国債を買い入れ続ければ永遠に保有できるのだし、その分、経済を活性化できのだから実は何ら問題はない」と主張されました。本当に「問題ない」と言い切れるのでしょうか。

池尾 和人(いけお・かずひと)
1953年、京都生まれ。75年京都大学経済学部卒業。80年一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了。86年京都大学経済学部助教授。87年経済学博士(京都大学)。95年より慶応大学経済学部教授。
 90年代のバブル崩壊に伴う金融危機の際には、政府審議委員として公的資金注入による不良債権処理を提言するなど金融システムの安定化に尽力したことで知られる。金融審議会委員のほか、日本郵政公社(現日本郵便)理事、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)取締役なども歴任。最近は、金融庁と東京証券取引所が共同事務局の「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」の座長を務めた。
 『連続講義・デフレと経済政策―アベノミクスの経済分析』(2013年)、『現代の金融入門(新版)』(2010年)など著書は多数。
(写真:時事)

池尾:最近、日銀が大規模緩和を続けても問題は発生しないという主張を超えて、貨幣発行益(シニョレッジ)で財政負担を軽減できるといった論調が増えてきています。

 しかし、こういう議論は、言ってみれば中央銀行というのは、「鉛を金に変える錬金術が使えるんだ」という話です。打ち出の小槌を持っているというか、一種の錬金術が可能だという話です。もし打ち出の小槌が存在すれば、こんなに嬉しい話はない。あからさまに打ち出の小槌の存在を主張しても誰も信用しませんが、貨幣発行益といった専門用語を使ってもっともらしく説明されると、願望としてはそういうのがあってほしいと思っているから、「あり得る話ではないか」と人々を惹きつけてしまうところがあります。でも、打ち出の小槌は存在しないというのが、本当の現実です。


オオカミ少年の話でもオオカミは本当に来る

 国債をあまり大量に発行したら、「国債価格が暴落するのではないか」と言われてきましたが、そんなことはこれまでは全然起きていない。「国債暴落」なんてイソップ童話の「羊飼いと狼」と同じで、オオカミ少年が言っていることに過ぎないと嘲笑する人もいます。でも、この童話では最後には狼が本当に来るんです。永久に狼が来ない、という話ではありません。

コメント16

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「このままでは将来、日本は深刻なインフレに直面する」の著者

石黒 千賀子

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス編集委員

日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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