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【岡田甲子男】「“原爆病”を精神力で克服していた」

戦後の味を作った「べろメーター」の開き直り人生

2015年4月24日(金)

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戦後70年となる今年、日経ビジネスオンラインでは特別企画として、戦後のリーダーたちが未来に託す「遺言」を連載していきます。この連載は、日経ビジネス本誌の特集「遺言 日本の未来へ」(2014年12月29日号)の連動企画です。

第26回は、天然調味料メーカー最大手、アリアケジャパンの岡田甲子男会長。同社は、食品メーカーや飲食店などがスープやソースに使う“ダシ”を量産している。カップ麺から弁当、ラーメン店、そして高級ホテルのレストランまで、アリアケは黒子としてダシを提供する。

創業者の岡田氏は、長崎の爆心地から約1.8kmの自宅で被爆したものの、強靭な精神力で克服。些細な味の違いも識別する自らの舌、自称「べろメーター」を48年間鍛え続け、どんな味のスープやソースでも識別し、量産化する。その岡田氏が、「己に克つ」開き直り人生を語る。

戦後の味を作った「べろメーター」
岡田 甲子男(おかだ・きねお) 長崎の爆心地から1.8kmの自宅で被爆。大学卒業後、会社を転々とした後、1966年に天然調味料メーカーのアリアケジャパンを創業、現在は会長。わずかな味の差を識別する「べろメーター」を持つ。生産を自動化し、どんなスープも再現する「スープのインテル」に。チキンブイヨンを飲む健康法を実践。1933年10月生まれ。(写真:千倉志野、以下同)

 長崎の原爆は8月9日でしたか。私はちょうど小学校の6年生でした。夏休みだったんですよ。その時、私は熱性黄疸という顔や体が真っ黄色になる病気を患っておりました。それでほとんど、布団の中で過ごしていたんです。

 あれはちょうどお昼過ぎでした。一瞬の閃光とともに、咄嗟に家の隅に逃げたんです。私は伏せていたんですが、もうびっくりして飛び起きました。それから15秒後くらいです。我に返った時は私が寝ていた布団と夏掛けがこう、爆風で抜けた天井に引っかかって、宙にヒラヒラと舞っていました。

 私たちの家は、部屋の下に防空壕を掘っていましてね、ちょうどその上の天井だけが吹っ飛んだんです。2メートルくらいの洞窟のような防空壕で、爆風が襲った時に、なんらかの空気の流れでその上の天井だけを吹っ飛ばしたのでしょう。本当に、一瞬の出来事でした。ガラス窓も全部飛び、家はもう半壊状態で、外に出ると道路が瓦とかいろいろなもので埋まっていました。

長崎市内が真っ白な海面のようだった

 自宅の防空壕は、深夜に一時的に避難する場所として掘った簡単なものでしたので、私は小学校3年生の弟の手を引っ張って、町内の防空壕へ移動しました。そこで、じーっと母親の帰りを待ちました。

 私の家は、爆心地から1.8kmほどのところにありました。まさに、目と鼻の先で原爆が投下されたわけです。周りでは、ほとんどの人が焼死や爆風による外傷などで亡くなりました。何千度の放射能の熱で、皆さんやられてしまった。

 幸運にも、私は生き残りました。後から考えてみますと、原爆は上空500メートルほどのところで炸裂したそうです。私たちの家は山の裾野にあったものですから、ちょうど放射線が当たらなかったんでしょう。

 母と合流するとすぐに、爆心地から逃げるために、無我夢中で山の方向へと歩きました。もう一面が焼け野原で、火の海になっていました。夜明けと同時に山の上から長崎市内を見ると、本当に何もないんですよ。一瞬、海面かと錯覚するほど、あるのは白い灰で覆われた大地だけで、本当に何もなかった。

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「【岡田甲子男】「“原爆病”を精神力で克服していた」」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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