ブランドマーケティング戦略専門のコンサルティング会社インサイトフォースの山口義宏代表に加え、デジタルメディア活動家として数々のメディア経営に携わっている田端信太郎氏が、企業の現場に出向いて戦略の中身を掘り下げていく当連載。今回は、シニア女性に特化した定期購読誌でありながら、定期購読部数20万部を誇り、特に通販事業での躍進が目覚ましい雑誌「いきいき」を取り上げる。

山口:さて、今回のターゲットは、シニア向けの女性雑誌として増収増益を続けて注目を浴びている「いきいき」ですよ。
田端:この雑誌、実はあまり知らなかったんですけれど、確かに業績を伸ばしているらしいですよね。書店で販売していない定期購読型の雑誌なのに、発行部数20万部でシニア女性誌では部数ナンバーワン。出版業界でもいま注目されていると聞いています。この会社はもともとどういう方が創業されたのでしょうか?
山口:創業者の方はベネッセ出身だったと思います。なので「会員ビジネス」というビジネスモデルは、ベネッセに近いのかもしれないですね。この雑誌のすごいところは、雑誌の実売数の大きさだけでなく、雑誌に同封されて届く通販誌による通販が大きく伸びているらしい、ということですね。
田端:通販雑誌っていうと、「通販生活」とかを想像しちゃいますよね。
山口:「いきいき」については、私自身も知りませんでした。新聞広告でよく見かけるので、新聞をよく読むシニア女性は知っていると思います。でも、書店には置いてないので、実際に見たことはありません、という人が多いんじゃないでしょうか。
シニア女性向け雑誌が、リアル店舗を出す理由
田端:なぜあまり目立たない雑誌にもかかわらず、通販ビジネスが伸びているんですかね。商品を実店舗で販売する神楽坂の「いきいきショールーム」に行かれてみて、山口さんの印象はどうでしたか?
山口:まず、神楽坂っていう立地は良さそうですよね。シニアの方が非常に多い。ただ、店自体が雑居ビルの中にあり、地上階の路面店ではないせいもありますが、「これが『いきいきショールーム』だ!」ってアピールしている感じはないですよね。大きな看板を出しているわけでもない。
田端:そもそもショールームへの年間の延べ来訪者数はどれくらいなんでしょうね。
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