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1日60分で花園に行けた

制約こそがイノベーションを生み出す

2015年5月20日(水)

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 常識にとらわれない発想で結果を出してほしい――。上司にこう言われた経験はないだろうか。常識を打ち破るのはそう簡単な話ではない。時間にも、お金にも、能力にも制約がある。ところが、高校ラグビー界に、数々の制約をものともせずに、というよりも、逆にその制約があるからこそ、常識をひっくり返すような逆転の発想で、大躍進を果たした指導者がいる。弱小だったラグビー部を3年で花園に出場させ、昨年は初の1勝を上げた、静岡聖光学院中学校・高等学校の星野明宏常務理事・副校長だ。「制約こそがイノベーションを生み出す」とも言えそうな、その考え方や目の付け所は、ビジネスにも大いに役立ちそうだ。

(聞き手は宮澤 徹)

弱小だった高校ラグビー部を育て上げ、花園出場、そして昨年は花園での初勝利を手にしました。強豪校に比べると練習環境の制約も多いそうですが、どう乗り越えてきたのですか。

星野 明宏
1973年生まれ。桐蔭学園高校、立命館大学ではラグビー部で活躍。その後電通に入社し、スポーツビジネスを手がける。2007年に静岡聖光学院中学校・高等学校の教員となり、ラグビー部監督に。2012年に教頭、2015年から副校長。

星野:私は決して、奇抜なアイデアは持っていません。今、普通にあるものが、考え方によっては武器になったり、みんなが新しい方に流れる中、古さにこだわっていた自分が実は一番独自性があり、強い存在になったり、という結果です。みんなが言う常識というのはどういう方程式で出来上がっているのかを考えてみて、本当にそれが正しいのか、ちょっとつついてみるというのが、私のやり方です。

 2007年に静岡聖光学院の教員となり、ラグビー部監督に就任した当初、部員は12人しかいませんでした。しかも、生徒にはスポーツだけでなく、様々なことにチャレンジさせようという学校の方針もあり、練習できるのは校則で週3日。火、木、土曜日で、1日あたり最大90分、11月から2月は冬時間ということで、土曜日以外は60分だけです。そうすると何が起きるかというと、冬場は体が温まると、練習が終わってしまうんです。

 ほかの部活との兼ね合いもあり、グランドも4分の1弱しか使えません。ナイター設備もウエートトレイニングルームもありません。ないないづくしのスタートでした。いろいろなラグビー指導者に会いに行きましたが、「そんなのお前、環境を変えるしかないだろう、アホか!」とか言われるばかり。強くなるための環境とは、お金、優秀な指導者、優秀な選手、練習しやすい施設の4つですが、それが一つもないわけです。

どこから立て直したのでしょうか。

星野:まず、ポスターを作ったんです。2000何年、全国大会準々決勝、東福岡対桐蔭、伏見工業対何々、何々対静岡聖光学院というのを部室に張って、こうなったらうれしいだろうと部員に言いました。当時、みんなはきょとんとしていましたが。イメージトレーニングみたいなものです。わくわくするような目標があれば、みんなやる気が出るんです。

コメント7件コメント/レビュー

なるほど、日本のサラリーマンが長時間残業で効率の上がらない仕事をする根源には、学生時代の部活のだらだら練習があったと言うのは、目から鱗が落ちる思いです。確かに、ユルくない普通の部活、特に運動部では、大人数の部員が長時間にわたって一人ひとりにとっては密度の薄い練習を年中休みなく勤め上げる事が求められることが多いと思います。下級生は、早く来て用具の準備に始まり、練習も球拾いや先輩の練習を声を出して見守るばかりで自分の番が来るのはごくわずかな時間のみ、、終了時間が来たら上級生が上がるのを待ち、用具の片づけをし、グランド整備をし、練習日誌をつけて(その後ようやくおしゃべりの時間を楽しんで)から帰宅。まさに日本の企業社会の縮図だったのですね。日本企業の生産性を上げるには、まずは学生時代の部活の練習から変える必要があるようです。(2015/05/20)

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「1日60分で花園に行けた」の著者

宮澤 徹

宮澤 徹(みやざわ・とおる)

日経ビジネス副編集長

日本経済新聞社産業部、中国総局、重慶支局長、2012年秋日経ビジネス副編集長。製造業とアジア担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

なるほど、日本のサラリーマンが長時間残業で効率の上がらない仕事をする根源には、学生時代の部活のだらだら練習があったと言うのは、目から鱗が落ちる思いです。確かに、ユルくない普通の部活、特に運動部では、大人数の部員が長時間にわたって一人ひとりにとっては密度の薄い練習を年中休みなく勤め上げる事が求められることが多いと思います。下級生は、早く来て用具の準備に始まり、練習も球拾いや先輩の練習を声を出して見守るばかりで自分の番が来るのはごくわずかな時間のみ、、終了時間が来たら上級生が上がるのを待ち、用具の片づけをし、グランド整備をし、練習日誌をつけて(その後ようやくおしゃべりの時間を楽しんで)から帰宅。まさに日本の企業社会の縮図だったのですね。日本企業の生産性を上げるには、まずは学生時代の部活の練習から変える必要があるようです。(2015/05/20)

いいですね。情熱と創意工夫。ない事を嘆いても何も生まれない。(2015/05/20)

この話は、全てのスポーツに、そして仕事(作業)に通じるのでは?こんな考え方が国内すべての学校に浸透すれば、生徒達が社会人になりある程度のポストに就く頃(20年後?)には、ダラダラ長くやっていると真面目(優秀?)なんて変な日本社会は無くなっていそう。ホワイトカラー達の欧米との競争力もついているでしょうね。(2015/05/20)

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