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もはやデフレではない 異次元緩和は即終了すべき

『円高・デフレが日本を救う』の著者、小幡績氏に聞く

2015年5月22日(金)

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 アベノミクスの第1の矢である日銀による異次元緩和が始まって2年強。円安が進み、一部の輸出企業が恩恵を受ける一方、株価も15年ぶりに2万円を突破し、5月20日には東京証券取引所第1部の時価総額がバブル期を上回わる過去最高を記録した。

 リフレ策は日本経済に多大な打撃を与えるとかねて指摘してきた小幡績氏も、「株価上昇を含め、人々のマインドを一変させた点は素晴らしい」と認める。だが、量的緩和は日本経済の成長力そのものを高めることにはならないうえ、リスクを伴うだけに手仕舞いを考えるべきだと指摘する。このほど『円高・デフレが日本を救う』を出版した同氏に、その考え方を聞いた。

(聞き手 石黒 千賀子)

日銀の異次元緩和には当初から批判的でしたが、2年強が経ち、日本の株価は随分上がりました。輸出企業を中心に業績を上げている企業も少なくありません。今の状況をどう見ていますか。

小幡 績(おばた・せき)氏
1967年生まれ。92年3月東京大学経済学部卒業、同年4月、大蔵省(現財務省)入省、99年退職。2000年IMF(国際通貨基金)サマーインターン。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2001年米ハーバード大学にて経済学博士(Ph.D.)取得。2003年より慶應義塾大学大学院経営管理研究学科准教授。著書に『すべての経済はバブルに通じる』『ハイブリッドバブル』『GPIF世界最大の機関投資家』『リフレはヤバい』などがある。

小幡: 確かに景気はよくなって、雰囲気もよくなった。それは事実です。経済学的に言えば、均衡のシフトですが、要は、「アベノミクス」とか「デフレ脱却」は、いわば「開け~、ごま」と一緒で、おまじないに過ぎない。でも、そのおまじないをみんなが信じたことで世の中が動いたということです。


異次元緩和は呪文が効いた結果です

お、おまじない?

小幡:日本は長年、いわゆる縮小均衡にはまっていた。リーマンショック以降も、東日本大震災を含め紆余曲折があり、世界の景気が回復する中で日本だけが取り残されていた。メディアのせいもあるし、政治家のせいもある。とにかくみんなで「日本はだめだ」と思い込んでいた。

 だから日経平均株価も以前は8000円と明らかに割安でしたが、誰も動かなかった。米国株など海外の株価はばんばん上がっていましたが、当時の日本は誰も動かないから買ってもバカを見るだけ。株価は下がらないかも知れないけれど、上がらないんだから、「買いだ」と言って買った人は失敗だったわけで、日本株を買わないのが正しかった。

 それが、2012年11月の衆院解散で流れが変わるという期待で、大きく動いた。

2012年12月の自民党が政権を奪還した衆院選挙ですね。

小幡:厳密には衆院が解散された2012年11月16日に市場は一気に動いた。選挙は自民党が勝つのが明白でしたから、安倍晋三氏が首相になれば、いわゆるリフレ政策、大規模緩和が実施されるとの期待が爆発し、円高、株高が急激に進んだ。

 しかし、これが実体経済の変化を先取りしたものか、というとそうではない。リフレ政策の実体経済への効果は不透明。理論的にもはっきりしませんし、現実にも分かりません。ただ、金融市場は動きました。大幅金融緩和は通貨安、円安は株高、というこれまでの経験則から動いたのです。これも理屈ではなく、これまでの経験則であって、そうであれば、ほかの投資家もそう動くだろうからと、すべての投資家が動いたのです。そのきっかけを作ったのが、安倍さんのリフレ政策、デフレ脱却という言葉です。

 別の言い方をすれば、「デフレ脱却」「リフレ政策」というのはいわば呪文で、みんなが「この呪文は効く」と信じたことが大きい。株式市場というのは、みんなが上がると思えば、みんなが「買い」に向かうので、実際に上がる。大規模緩和によって多くの人が「みんな、株を買うんじゃないか」「円安が進むんじゃないか」と信じる、考えるようになったことが効果をもたらした、ということです。

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「もはやデフレではない 異次元緩和は即終了すべき」の著者

石黒 千賀子

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス編集委員

日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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