「野球よ!」

目を覚ませ、日本のプロ野球選手会よ! その1 

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2006年4月13日(木)

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 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝で日本国中は大いに沸きました。日本の野球選手が世界のトップレベルにあることを証明してくれた選手たちには大きな敬意を表したいと思います。しかし、選手たちが世界一となった一方で、日本の野球界そのものはどこまで世界に近づいているのでしょうか。2004年のストライキからはまだ2年も経っていませんが、こうした盛り上がりの中で2005年シーズンに掲げられた「改革」の動きが止まってしまうことを危惧するのは私だけでしょうか。

 WBCの熱気もさめやらぬ中、こんな記事を発見しました。日本代表として大活躍をしたソフトバンクの川崎宗則選手が、けがを理由に今シーズンの開幕戦の出場選手登録を外されました。2軍スタートとなるわけですが、彼が2軍で過ごすこの期間は出場選手登録日数に加算されないため「150日の登録日数×9年」(一部選手は10年)をクリアすると取得可能となるフリーエージェント(FA)権が遠ざかる可能性があります。メジャーリーグ挑戦の意思の有無にかかわらず、自由な選択が可能なFA権取得を多くの選手が待ち望んでいます。

 川崎選手は日本の優勝に多大な貢献をし、その中で怪我をしました。その選手が2軍に落とされて「登録日数」を貯金できずにいます。2軍に落とすことが問題なのではありません。故障をすると2軍登録にするしか選択肢がなく、その分1軍の登録日数が減らされてしまうというシステムを問題視しているのです(参考までに、メジャーリーグの選手が怪我をした場合は「故障者リスト」に載せられますが、その間も出場選手登録しているとみなされます)。こうした事実がほとんど認知されず、それを問題視しようとする論調すら生まれないのが今の日本の野球界なのです。

2004年のストライキで何が変わったのか

 プロ野球選手の代理人として選手に一番近い立場から日米の野球界を見てきましたが、日本野球界の改革が遅々として進まないことには常々歯がゆい思いをしてきました。表面上の変化はあったかもしれません。新チームが誕生し、各チームのユニホームも一新されました。外国人監督が活躍し、ドラフト制度にもわずかな変化がありました。しかし、選手の地位や権利を守る構造改革はここ数年間全く行われていません。FA権取得年数は短縮されず、労災も年金も保険も改善されず、選手の肖像権もいまだに球団が握っています。

 これには、選手を代表してこうした働きかけを行っていくべき「選手会」という組織に大きな問題があると言わざるを得ないのです。さらに最近耳にしたのは、年俸1億円以上の選手の給与カットを40%まで認める(従来は30%。1億円未満の場合は25%)ことに、選手会が合意したとのことです。一説によるとこれは、選手会が提唱していたレンタル移籍制度の導入の見返りだったようですが、ご存じの通りレンタル移籍制度は導入されませんでした。

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著者プロフィール

団 野村(だん・のむら)

団 野村

KDNスポーツ代表
1957年生まれ。78年から4年間ヤクルトスワローズでプロ選手生活を送り、渡米。93年、マック鈴木選手と最初の代理人契約を結び、日本人アマチュア選手としては初めて米メジャーリーグのチームと契約。同年、ダン野村オフィス(現KDN SPORTS INC.)をロサンゼルスに設立。95年、日本のプロ野球協約の盲点をつき野茂英雄選手のメジャーリーグ挑戦を支援。1960年代以来2人目の日本人メジャーリーガー誕生に貢献。以降、伊良部秀輝、吉井理人など日本人メジャーリーガーの先駆けとなる選手の渡米をサポートする。近年では日米はもちろん、ドミニカ、ベネズエラなどの中南米諸国や、韓国、台湾のアジア諸国にもクライアントを抱える。2006年、日本にKDNエージェンシーを設立し、日本での活動を強化するほか、競技を越えたスポーツビジネスを展開する。

KDNエージェンシー運営のベースボールコミュニティサイトはhttp://ballplayers.jp/



このコラムについて

野球よ!

ひたむきなプレーで、世界一を勝ち取った日本のプロ野球。だがチーム運営、選手の権利確保、ファンサービスなどすべての観点からトップになるには、さらなるひたむきさが必要だ。野球を知り尽くした筆者が斬る。

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