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——帯に「クリステンセンは間違っていた!」というかなり刺激的なキャッチコピーがついていますね。
キャッチコピーは、編集担当の人が考えたんです。確かに刺激的ですね。私も最初に見た時「ここまで言い切るか」とどきっとしたけど、まあ、販促のためにはしょうがないかなと(笑)。
──クリステンセン氏の『イノベーションのジレンマ』をどのように受け止めているのですか?
まだ日本語に訳される前に読んだのですが、非常にいい本だと思いました。でも正直言って、「何か変だな」という違和感も感じたんです。
──「違和感」ですか。
周りの人たちにも読んでもらったら、文系の人たちはみんな「書いてあることは正しい」と言う。でも、技術者や研究者といった理系の人たちは、誰もが「違和感を感じる」と言います。ただ、その違和感がどこからくるのか、みんなで議論しても分からなかった。
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──本書では、その違和感の正体を明らかにしています。
日本語に訳されてから何度も読み返していて、ある時ふと気づいたんです。それは、クリステンセン氏が、技術イノベーションが生まれるプロセスのことを深く理解していないんじゃないか、ということです。
「戦略論」だけではイノベーションを語れない
──特にエンジニアや研究者のモチベーションに関して理解していないということですね。
どうもクリステンセン氏は、企業で働くすべての人は報酬への期待で動くという仮説に基づいている節がある。実際は、企業で働く人たちはお金や地位だけを求めているのではありません。特に研究者やエンジニアは、自己実現とか、自分の奥底から沸き起こってくる内発的な衝動のようなものにつき動かされていることが多い。それを理解していないのではないか。
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──研究者やエンジニアならではのモチベーションがあると。
エンジニアや研究者たちのモチベーションは、「誰も見たことがないものを見たい」「誰も知らないことを知りたい」「この世界にないものを作り出したい」という欲求です。その欲求こそがイノベーションを生み出す源泉となります。
──そうしたモチベーションは、経営者からはなかなか理解されにくい。
ハイテク企業では、セミナーなどで招かれた経営学の先生が『イノベーションのジレンマ』を金科玉条のように教えるので、その通りにしないといけないと思っている経営者がいっぱいいます。でも、それは危険なことだと思います。なぜなら、「知の創造」をしたいという研究者たちのモチベーションを殺してしまうからです。
──『イノベーションのジレンマ』で書かれている内容は、研究者側の視点を補完する必要があるということですね。
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