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万物の尺度を求める測量への情熱

『万物の尺度を求めて-メートル法を定めた子午線大計測』 ケン・オールダー著 吉田三知世訳 早川書房刊 2800円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2006年5月12日(金)

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 だいぶ昔のことになるが、ロンドンを訪れた時、ポンドとシリングとペニーの換算にさんざん苦労した記憶がある。貨幣単位に10進法が取り入れられてなかったせいだ。貨幣単位だけでなく、長さ、重さといった度量衡もいい加減なものだった。

 18世紀後半のフランス。世に啓蒙の時代だと伝えられている。理性の時代と言ってもいい。啓蒙的革命派に言わせればアンシャン・レジーム(旧政府)では、度量衡が乱れ、各地で約600もの長さや重さの単位が使われていた。

 同じ名称で重さや長さが違う度量衡を整理すると、フランスで25万の違う尺度が使われていたという。これでは啓蒙の時代が目指す科学的知見は何も得られない、ということでまず地球の大きさを正確に測ろうではないか、という機運が生じた。

 それにはフランスを通っている子午線の長さを正確に測量するのが一番だ。基準に使われたのは、北の端にあるダンケルクを通って、パリ経由真南に伸びる子午線だった。最南の土地はスペイン領バルセロナの近くになる。

 ダンケルクとバルセロナ間を南北に走る子午線の長さを正確に計測すれば、地球の北極と赤道間の距離が求められる。この距離の1000万分の1を1mと定めよう。地球の大きさは万古不変だし、その頃は地球が真球だと思われていた。

 測量は三角測量で行われた。子午線の周囲で精密な三角測量をつないでいけば、簡単な計算(ピタゴラスの定理)で距離は導き出せる。最新の天測器具を携えて、2人の天文学者が南と北に向かった。北に向かったのはドゥランブルという男、南へはメシェンという男が向かった。ダンケルクから南へ、バルセロナから北へ、2人が出会った所で測量終了だ。

 その測定結果を北極点と赤道まで延長して、1000万で割れば1メートルとなる。だけれども、いかに精密に測定してもこのように1mを決定したのはいいとして、この1mとはいったい何なのだろうか、という疑問は残る。1000万という数字には計算しやすいという以外には、合理的な根拠はない。1500万で割ったらどうするのか。その答えでプラチナのメートル原器を作って、10進法のメートルシステムを導入してもよかったはずだ。

 メートル法採用に最後まで抵抗を続けたのはアメリカだった。つい最近までヤード・ポンド法を採用していた。イギリスだってゴルフを見てごらんなさい。ヤードが大いに幅を利かせている。日本のテレビ画面はいつまでもインチだ。

『クック太平洋探検』(1~5) 増田義郎訳 岩波文庫 各800円(税抜き)

 1768年7月30日付の極秘文書(クック宛の訓令)
 「1769年6月3日太陽円盤上の遊星ヴィナス(金星)通過を観測するべし」
 という国王陛下の極秘訓令を受けて、キャプテン・クックと呼ばれる男が、南太平洋の島に向かった。太陽面金星通過が観測できるのは、当時知られていた南太平洋のキングジョージ島だった。測量に次ぐ測量が求められる航海だった。

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