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人の殺し合いとその被害者「難民」
緒方貞子の生き方にグローバル化を学ぶ

『紛争と難民 緒方貞子の回想』 緒方貞子著 集英社刊 3000円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2006年5月19日(金)

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『紛争と難民 緒方貞子の回想』 緒方貞子著 集英社刊 3000円(税抜き)

 1990年代は振り返ってみると、大戦こそなかったものの、どこかで紛争の絶えることのなかった10年だった。紛争は時に土地を巡り、習慣を巡り、宗教を巡り、何でも対立があるところに発生する。紛争があるところではそれを逃れる難民が発生する。

 著者は1990年代の10年間、国連難民高等弁務官を務めている。テクノロジーの進歩によって地球に平和が訪れるという幻想は、90年代に木っ端微塵にされてしまった。民族浄化という忌まわしい言葉は、とっくの昔に(半世紀以上前にヒトラーが使って以来)死語になっていたはずだったが、90年代には地中深くからぬーっと頭を持ち上げてきた。

 本書には「逆民族浄化」という驚くべき言葉が随所に出てくる。なんだか人間であることに自信が持てなくなってきそうな言葉ではないか。それは旧ユーゴスラビア=バルカン半島で行われた紛争から生まれた。緒方氏の90年代は、人間の心の奥底にひそむ「悪」と、それを跳ね返す「善」との闘いであった。

 数え方にもよるが、難民の数は弁務官事務所では2500万人だという。著者は小柄な女性である。緒方さんは真っ向からこの2500万人と向かい合った。

 本書の裏表紙に、緒方さんがアフリカのどこかで難民の子どもたち大勢に、取り囲まれている写真が使われている。子どもたちは嬉しそうに一斉に緒方さんに向かって精一杯手をさしのべている。この一枚の写真に緒方さんの弁務官としてのスタンスが見て取れる。難民の子どもたちとの交流が伝わってくる。

 この写真からは曙光のような未来が見えてくる。
 グローバル化とは何かを考えるための良き教科書だ。

『漂泊のルワンダ』 吉岡逸夫著 牧野出版 1500円(税抜き)

『漂泊のルワンダ』 吉岡逸夫著 牧野出版 1500円(税抜き)

 「ホテル・ルワンダ」という映画が今年1月に公開された。ルワンダが舞台の映画では、絶対に収益が上がらないし、客も集まらないだろうという見方を裏切って、公開日の映画館は満員御礼の盛況。

 アフリカのルワンダ、といって地図上で正確に指差せる人は多くないだろう。元々、ルワンダはフツと呼ばれる人々が豊かではないが安定した農耕生活を送っていた。キリマンジャロの霊峰がどこからでも見える緑いっぱいの平和な土地だった。

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