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野球選手が自由の身になるために その1

  • 団 野村

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2006年5月19日(金)

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 1946年から7年連続でMLB(米大リーグ機構)ナショナルリーグのホームラン王に輝いたラルフ・カイナーというスター選手がいました。7年もの長期にわたってトップであり続けた彼は実力と共に人気もずば抜けており、彼のプレーを見たさに多くの観客が球場に足を運びました。

しかし、そのスーパースターが給与のアップをチームに要求するとそれは無視され、彼を煙たがった球団のゼネラルマネジャー(GM)、ブランチ・リッキー氏は53年に彼をトレードで放出しました。リッキー氏は「君(カイナー選手)がいてもいなくても、うちのチームは最下位だ」と伝えたそうです。確かにその年チームは最下位に終わったかもしれませんが、これだけの功績を上げてチームに貢献した選手が自らの年俸をも主張できず、揚げ句の果てには一方的にトレードを通達されました。

 そもそも、カイナー選手は球団に最大限の貢献をしており、チームの成績が振るわないのはGMのリッキー氏の責任です。ところが、こうした理不尽な球団の決定に対し、当時の選手たちはなす術がありませんでした。球団の下す決定に従わなければ、野球選手としての立場さえ失いかねなかったからです。

半永久的に身柄を拘束

 野球選手と球団が選手契約を結ぶ際には必ず「統一契約書」が用いられますが、その中には「保留条項」というものが盛り込まれています。この保留条項によって、契約した選手は契約期間内に他チームでプレーすることを禁止され、契約更新の権利は球団が有し、それを行使できるというものです。

 そして、当時メジャーリーグで使用されていた「統一契約書」では、球団が契約更新の権利を半永久的に有していました。つまり、球団は契約した選手の身柄を拘束したのも同然だったのです。球団の意に従わない選手から、「プロ野球選手」という地位を剥奪することさえ可能でした。

 他の職業で例えるなら、成績抜群の営業マンがよりよい環境と待遇を求めて転職を試みます。ところが現在勤務している会社から許可が下りないと転職ができません。自主退職してもその業界内で営業マンとして採用されることはなく、将来を剥奪されてしまうのです。

 当然ながら、こんなばかげた話はありません。弁護士も、技術者も、医師も、サラリーマンも、どんな職業でも転職は自由に行われているはずです。言い換えれば、雇用者側が労働者の身分を永久に保有する権利を有することなどあり得ず、転職の自由は独占禁止法によっても保障されています。ところが、保留条項が存在する野球界ではこれが長い間認められていたのです。

「保留条項」との戦いに

 1922年、米国の連邦裁判所は独占禁止法が野球には適用されないとの見解(「ベースボールの適用除外」)を示し、野球界における保留条項は合法であるという判決が下されました。保留条項が独占禁止法違反であるという訴訟は何度も起こされましたが、この「ベースボールの適用除外」によって保留条項は守られてきました。

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