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盗まれた! ムンクを追え!

『ムンクを追え!『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術特捜班の100日』 エドワード・ドルニック著 河野純治訳 光文社刊 1700円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2006年5月26日(金)

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『ムンクを追え!』

 ノルウェーの首都オスロ、国立美術館の特別展示室から世界的に名高いムンクの「叫び」が盗まれた。犯人は「手薄な警備に感謝する」というメモを残していった。

 ちょうどこの日は、ノルウェー北部の町リレハンメルで開かれる冬季オリンピックのオープニングの日。世界的な注目が、北欧の地味な国ノルウェーに集まる日だった。犯人たちは美術館に梯子をかけ、途中で梯子から落ちたりするほどドジだった。それでもガラスを割って侵入し、あっさりとムンクを盗んでいった。

 ムンクの叫び『叫び』という絵は誰でもが知っているだろう。真っ赤な夕景の中で男がひとり頭を抱えて何かを叫んでいる。表現主義の扉を開けたといわれる画期的な絵であり、盗んでも誰にも売り捌けないほど有名だ。時価150億円するとも言われていた。

 ロンドン警視庁の特捜班は『叫び』奪還には囮捜査しかないとし、優秀な絵画奪回専門の警部をリーダーに囮特捜班を編成した。名にし負うスコットランドヤードである。特捜班は画商、ヤクザ、マフィアなどに 情報探索の針を差し込んでいく。

 リーダーのヒルは、ロサンゼルスにあるポール・ゲティ美術館の、金に糸目をつけない買い付け人になりすます。

 このあたりまでは、ちょっとしたミステリー仕立てなのだが、ページをめくっていくと、突然ヒルの顔写真が掲載されているので面食らう。さらにクリス・ロバーツという偽名を刷り込んだポール・ゲティ美術館の名刺やサインの写真版まで出てくるので、これはノンフィクションなのだと納得する。

 でもストーリーの運びはフィクシャルで、読者はフィクションとノンフィクションのあわいを漂流している感じ。この漂流に身を任せてしまうと心地よい。おまけとしては窃盗絵画取引の裏社会、ムンクの生い立ちと、なぜ『叫び』を描いたか、被盗難常習のフェルメールの薀蓄などを聞かされてしまう。

 画商とヤクザが大金と盗品を交換する場面はスリリング。おとり捜査の手法や、鉄則なども述べられ、とりわけ西洋名作絵画を巡る裏社会の話題などは興味深い。

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