東京都江東区の木場公園内に位置する東京都現代美術館は、昨年、開館10周年を迎えました。現在、7月2日までの会期で「カルティエ現代美術財団コレクション展」が開催されています。
この美術展の主催者であるカルティエ現代美術財団は、貴金属の有名ブランドであるカルティエを母体とし、1984年に設立されています。以来パリを本拠とし、世界各国の秀れた才能のある作家を発掘・紹介してきました。
同財団は、自身が選択した現代作家に作品の制作を依頼し、同時に作品を買い上げて直接的な作家支援を行うという独自のメセナ活動を展開しています。
本展では同財団が支援してきたアーティスト約300人・計1000点を超えるコレクションから、31作家の選りすぐりの作品が展示されています。
パリの名所となったカルティエ現代美術財団ビル
パリ市内にある同財団ビルは四方をガラスで覆われ、1階展示室がショーケースとして広く大通りに開かれています。そこでは街を行き交うパリジャンやパリジェンヌの視線が自然と中の展示作品に向かうように計算されています。
この空間に合わせた巨大なインスタレーションや、地下展示室用の映像作品などを作家に注文し、完成後は同地での展覧会を経て収蔵庫に収まります。何よりも同財団が作家に期待することは“創造性”であり、型にはまらない“制作の白紙委任状”が彼らに託されているとのことです。
これまでの同財団が紹介した日本人作家は、三宅一生、荒木経惟、中川幸夫、杉本博司、村上隆らの名前が挙げられ、本展では川内倫子、松井えり菜、森山大道らの作品が出品されています。
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必見は「イン・ベッド」と「ミラー・メイズ」の2点
さて、展示作品の中で際立って異彩を放っているのがロン・ミュクの「イン・ベッド」と、トニー・アウスラーの「ミラー・メイズ(死んだ目が生きている)」の2作品です。
ロン・ミュクは1958年、オーストラリアのメルボルンに生まれ、現在ロンドンで活動しています。「イン・ベッド」は物思いに耽る女性がベッドに横たわる姿のリアルで巨大(1.6×6.5×4メートル.)な彫刻です。
肌のシミや皺の質感、眉毛や頭髪、そして浮き出た血管など驚くほど生身の人間の蝕感が醸し出されています。自分がガリバー旅行記の小説に迷い込んだような、或いは小さな犬や猫の眼から見た人間の姿のような、現実と幻想の往来の中で不思議な錯覚の世界に陥ってしまうのではないでしょうか。
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