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今日もまた、雲と空と地平線を越えて

『我々は何処から来たのか グレートジャーニー全記録』I移動編 II寄道編 関野吉晴著 毎日新聞社刊 各3800円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2006年6月16日(金)

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sabaku
『我々は何処から来たのか グレートジャーニー全記録』

  アフリカの密林から2足歩行で歩みだした我らが人類の祖先が、中東の砂漠を越え、シベリアのタイガを抜け、まだ陸続きだったベーリング陸橋を渡り、酷寒のアラスカから北アメリカのロッキーをよじ登り、大平原にさまよい出る。さらに南下を続け、中米の細い陸地を抜け、アマゾン・アンデスの環境に耐えて、またさらに南下する。そしてたどり着いたのがテラ・デル・フエゴ=マゼラン海峡だった。

 関野はこの人類が数万年かけて移動し定住してきた道筋を逆に辿ろうと考えついた。そしてさっそく実行に移す。移動に関してつけた制約は、基本的には脚力、つまり歩く。太古の人類は足しか使うものがなかった。さらに補助的な道具も許すことにした。自転車、カヌー、そして自分で完全にコントロールできるという条件付きで犬ぞり、馬、トナカイそり、ラクダなども使ってよし。

 1993年12月から10年越し、上記の条件を厳密に守りつつ、アフリカ・タンザニアで発見された人類の最古とも思われる足跡の化石にたどり着いたときに、ホモサピエンスのアフリカから南米南端までの行程を逆行する関野の旅は終わった。全行程5万3千キロ。約10年の年月がかかった。人類の旅が約10万年ほどかかったのに対し、10年とは何というハイ・スピードだったことか。

 2巻のうちでは『寄道編』が圧倒的におもしろい。旅の最中に出会った人々のところにべったりと張り付いて長居を決め込む。関野は寄り道を楽しむために、また寄り道があったからこそ、グレートジャーニーを完遂できたのではないか。

 関野は旅の行程でいつもゴーガンが描いた1枚の著名な絵画に思いを馳せていた。それを2巻の叙事詩のタイトルとした。実はゴーガンの絵のタイトルから抜け落ちている部分がある。それは『我々は何者なのか』という部分である。

 関野はこれからも様々なジャーニーを続けるだろうが、この問い掛けを心にしまって旅をするだろう。そして第3巻全記録IIIを、文明世界にどっぷりと浸かってふやけきっている我々の精神に突きつけてほしい。

 最近ではほとんどなくなってしまった書物らしい書物の装丁(三村淳)も良く、長く手元に置きたい書物となった。

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