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「オシム監督就任」は、JFAのカウンター攻撃

手玉にとられたスポーツメディア

2006年6月27日(火)

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 「ハプニング会見」の形をとって、イビチャ・オシム氏への代表監督就任要請が明らかになった日本サッカー協会(JFA)。今後の日本代表チームについてのビジョンが、ファンからも注目されています。

 私はミュンヘンのスタジアムへ向かうバスの中で、このニュースを耳にしました。取材する記者にとっては、記者発表の時間帯がちょうど列車で移動しているタイミングだったため、プレスルームでもこの「オシムジャパン」のニュースは驚きを持って受け止められました。

 ただ、これまでもオシム待望論がサポーターやメディアの底流に流れていたのは事実。ジーコジャパンの残した結果への批判が高まり、その矛先がJFAおよびそのトップへと向かいつつあった矢先、この発表が戦略的に行われたとすれば、危機管理のPR対応として非常に効果的なものだったと言えるでしょう。

サッカー記者が日本にいないタイミングで発表

 この会見は、当初設定されていないものでした。しかし、ブラジル戦の敗戦直後、まず「急遽」川淵キャプテンによる会見が日本で行われることをJFAは発表。そして会見当日の朝、スポーツ紙2紙に対してオシム氏との交渉内容をリークしています。メディアと読者に「オシム」の名前を十分に刷り込んだところで、川淵キャプテンはその名前を口にしました。

 この時点で、日本代表とJFAの動きを長年にわたって追っていた記者のうち、かなりの数がドイツでの取材を続けている状態でした。この新しい状況を、より深く分析できる記者の数が少ないタイミングで行われたのが、この「ハプニング」会見だったのです。

 当初、この件に関する記事に初歩的なミスが多く、また発表内容を右から左へと受け流すだけの報道が目に付きました。川淵キャプテンが「読んで感銘を受けた」と発言した書籍(※)を、“オシム氏の著書”と記述した記事が複数あったことからも、通常はサッカーの報道に携わっていない記者が初期の報道に携わっていた事を端的にあらわしています(※『オシムの言葉』は、木村元彦氏の著書。刊行は集英社インターナショナル)。

 ただし、前述しましたがこの一連の動きは、JFAにおける危機管理広報として、きわめて効果的でした。日本代表は、目標ともいえた予選リーグ突破はおろか、1勝もあげることができずに敗退。「世界を驚かせる」と語ったジーコ監督の言葉は、彼の想定とは逆の意味で世界を「驚かせる」結果に……。

 予選リーグ突破の可能性がほんのわずかに残っていたブラジル戦の敗戦により、ジーコ監督のみならず、JFAと川淵キャプテンへの責任追及がまさに始まろうとしていました。特に、ジーコ監督をトップダウンで指名し、4年間擁護し続けた川淵氏への批判が急速に高まることは明白でした。

 その炎が上がる寸前を狙い、まさにカウンター攻撃のように行われた「オシム」発言。主要記者の日本とドイツの間での分散という状況も見極めることで、一気に世間の耳目を「ジーコ」から「オシム」へと移行させることに成功したのです。

組織防衛広報の「見事な」実例になるか

 これまでJFAは、一部メディアへの意図しない情報流出などで、広報的ダメージを受けることがたびたびありました。しかし、今回の発表については組織防衛上、大成功だったといえます。

 今後最大の問題は、当然の事ながらオシム氏との交渉が成功し、晴れて新しい日本代表監督へと彼を迎えることが出来るかどうかでしょう。今回の発表が「戦略的」であるならば、交渉の進捗、そして契約の成否を担保した上での発表でしょうから、その結果を見守りたいところです。

 さて、ファンの間では当然の事ながら「川淵辞任論」が噴出しています。ジーコ監督の指導法や監督としての資質には、就任初期から疑問符がついていました。にもかかわらず、その能力を信頼し、結果として「惨敗」の2文字しか得られなかった今回の大会について、ジーコ監督の実質的な任命者である川淵氏の結果責任は問われてしかるべきです。

 この状況を、一般の企業で例えてみると、どうなるでしょう。

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