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谷本肇リアルコム社長~「経営書を早読みするコツ、教えます」(後編)

  • 大宮 冬洋

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2006年7月14日(金)

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谷本肇リアルコム社長

 経営コンサルティング会社を辞めた谷本氏は、ベンチャー企業の聖地・米国シリコンバレーへと向った。94年の春、不況にあえいでいた日本経済に比べ、アメリカはIT景気に湧いていた。

 現地に渡った一番の目的は成功した起業家たちをこの目で見ることだった。当初はあこがれの起業家やベンチャーキャピタリストを目の当たりにするだけで興奮していた、と振り返る谷本氏。サッカー少年がJリーガーに出会うようなものだった。

 だが、「超優秀な宇宙人のような人々が完璧なビジネスプランを作ってから起業しているのだろう」という予想は見事に裏切られる。

 谷本氏は、シリコンバレーで何を見て、どんな本を読んだのだろうか。

「ザ・起業物語」

 実際に起業家たちと会って話す傍ら、95年に日本語訳が出版された『シリコンバレー・アドベンチャー』(ジェリー・カプラン/日経BP社)を読みふけりました。当時シリコンバレーに行きたての僕にとって、まさに生きた教科書でしたね。

 この本は、ある起業家の栄光と凋落を自ら描いた実話です。著者はペン入力型のコンピュータを思いつき、仲間を集めて「Goコーポレーション」という会社を作り、IBMやマイクロソフトなどの大企業と渡り合うまでに成長します。

 しかし、その出発点はパソコンオタク青年だった著者の思いつきに過ぎなかったんです。「こんなに簡単に会社ができるんだ」と驚きを感じました。彼らは宇宙人ではなく、僕と同じ地球人です。能力に差があったとしても、それは誤差のレベルだと感じました。

 違いは2つだけです。1つは明確で素晴らしいゴールを設定していること。『シリコンバレー・アドベンチャー』の著者は「ペンコンピュータで世界を変える」と宣言した。それは誰もがワクワクするゴールだったんです。もう1つはそのゴールに到達するためにみんなが命がけで働いていること。一種の狂気といえるかもしれません。

 この本で、自分と同じような人間たちが夢の実現に向けてひたむきにがんばっていると知りました。シリコンバレーの起業家たちへの尊敬の念が、かえって深まったのを覚えています。そして、「オレもやんなきゃ」と思いましたね。

 『シリコンバレー・アドベンチャー』から伝わってくるもう一つのメッセージは、楽観主義だ。命がけで働く一方で、「なんとかなるさ」「俺たちならきっとやれる」という気持ちを保ち続ける大切さ。明るく和やかなリアルコムのオフィスの根底にも、谷本氏がシリコンバレーで学び取った楽観主義が流れているのだろう。

 リアルコムは今年3月、シリコンバレーに子会社を設立した。同社のグローバル展開を担う最初の海外拠点だ。当面、日本人社員は1人だけだが、将来シリコンバレーに行きたいという社員には、『シリコンバレー・アドベンチャー』を読むことを薦めているという。

 ベンチャー企業で働いていると大変なこともあるんですよ。一生懸命準備してきた仕事なのに、最後の最後で「こんな小さなベンチャー企業とは付き合えない」という取引先の一言でつぶれてしまうとか。でも、それでウジウジしていたらきりがありません。

 『シリコンバレー・アドベンチャー』の他にも、偉大なビジネスマンの人生を描いた本からは学ぶことが多いですよ。苦労をして成功した話を読んでいると元気が出ます。

 オラクルのラリー・エリソンの伝記『カリスマ』(マイク・ウィルソン著、ソフトバンク クリエイティブ)、本田宗一郎の『得手に帆あげて』(三笠書房知的生き方文庫)、リチャード・ブランソンの『ヴァージン―僕は世界を変えていく』(TBSブリタニカ)などは特に好きですね。

 極め付けは、アップルコンピュータの創業社長の波乱万丈の半生を描いた『スティーブ・ジョブズ 偶像復活』(ジェフリー・S・ヤング、ウィリアム・L・サイモン著、東洋経済新報社)。スティーブ・ジョブズの生き方は、ラリー・エリソンと似ているところがあります。どちらも不幸な子ども時代を過ごしていて、愛情に飢え、自己顕示欲が強い。だからこそ、プレゼンテーションが天才的に上手なのかもしれません。

 こんなふうに考えながら読むと、ビジネスマンの伝記はさらに面白くなる気がします。

「僕は人間にすごく興味があるんです」と言う谷本氏。その言葉は、シリコンバレーから帰国後に設立したリアルコムにも現れている。

 サービスの切り口はITだが、対象はあくまで働く個人にある。そして、「日本発世界初」の製品・サービスを提供するグローバルカンパニーを目指す――谷本氏が掲げた明確なゴールを目指して、リアルコム社員は生き生きと働いている。

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