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女の旅

『関所抜け 江戸の女たちの冒険』金森敦子著 晶文社刊 2300円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2006年7月28日(金)

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『関所抜け 江戸の女たちの冒険』金森敦子著

 江戸時代、民衆の旅は強く規制されていた。農工商にたずさわる民衆がやっとのことで貯めたお金を、お伊勢参りや善光寺詣でなどで藩外に持ち出し、旅特有の開放感からパッと使ってしまう。藩の財政にとって、これは痛手であった。手形なしに関所を抜けた人物は関所のそばで示威のため磔と刑も厳しいものだった。

 それでも関所抜けはたくさんあった。関所は一種の税関のようなもので、旅人はなにがしかの金子、袖の下を関所役人に払わなくてはならなかった。抜けるためには、やはりなにがしかの金子で案内人を雇う。こちらの方が少し高くつく。

 タイトルにあるように関所抜けは冒険的だった。於以登(以下オイトさん)は果敢に関所を抜けたりしながら、庄内(秋田)から日本海岸を通り、まず、善光寺へ。また日本海に戻って、能登富山、金沢から北陸路を通過して、永平寺にお参りした後京都に到着。京都でいくつもの名刹を拝観する。

 その後、船便で大阪に向かう。そして陸路を田の口へ。瀬戸内海を渡って、丸亀に行き、金比羅様を拝み、そのまま来た道を大阪に戻る。高野山に登り、ついでに奈良を見物し、ついに伊勢神宮の参拝を果たす。桑名経由で東海道を下り、鎌倉経由で江戸に入る。その後日光を見物して、奥州街道を北上する。桑折から羽州街道に入り、橇と馬を乗り継いで帰郷。

 大旅行だ。151日を歩き通す。滞在日を除き、1日平均移動距離は6~7里になる。全行程780里。約3000キロメートルにも及ぶ。芭蕉の『奥の細道』の全行程は450里。オイトの健脚ぶりが分かるだろう。

 オイトは毎日の記録をつけていた。一種の小遣い帳のようなもので、「参宮道中諸用記」として後世に伝えられた。関所抜けも金次第だったようだ。案内に大枚はたき、夜陰に乗じてこっそりと無人の関所を抜けたりもした。

 大胆、剛毅中年女性の大冒険。本書は「諸用記」を丹念にたどり、小遣い帳から、関所抜けの値段を克明に伝えてくれる。

 本書は歴史資料の面白さを見事に発掘した。

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