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伊万里焼の名品、
逸品に接する「古伊万里唐草展」

  • 杉江 隆

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2006年8月11日(金)

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 渋谷から歩いて10分、閑静な高級住宅街の一角に戸栗美術館はたたずんでいます。実業家・戸栗亨氏が長年にわたり収集した東洋の古陶磁器約7000点を所蔵・展示する美術館として昭和62年、旧鍋島藩屋敷跡に建てられました。

 同美術館では9月24日まで「古伊万里唐草展」が開催され、多くの陶芸愛好家たちが訪れて古伊万里の魅力を堪能しています。

欧州への輸出で飛躍的な発展を遂げた伊万里焼

 伊万里焼は17世紀初頭、朝鮮半島からの製陶技術に倣い、日本初の磁器として佐賀県有田町とその周辺の窯で誕生しました。



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『染付 蛸唐草文 大蓋物』   戸栗美術館所蔵 

 その表面はガラス質で清潔感ある白色を保ち、硬くて丈夫な器は当時の富裕層の高級品として重用されていました。そして17世紀後半には、オランダ国営の貿易会社である東インド会社が欧州での磁器需要に目を付け、同社を介した輸出事業が拡大。これにより、伊万里焼の生産量は飛躍的に増大し、大量生産の基盤が整うようになりました。

 誕生当初の伊万里は高級品で少量生産。その後、安価とは言えないまでも大量生産に転ずる。このことが、18世紀に入って欧州への輸出量が減少した段階で、伊万里焼が海外向けから国内向けへと転ずる契機となったのです。その後、伊万里焼は一般大衆の器として広く浸透していきます。 

「唐草」は、尽きることのない生命力を表し
かなわぬ夢を託する文様

 さて、今展のテーマとなっている「唐草」文様についてお話致しましょう。

 「唐草」とは実在する草花ではなく、植物の茎や蔓がからみあい連続する植物文様で、人間が理想とする草花のことを表しています。
 
 その起源は遠く古代エジプトで発祥し、ギリシャ、ローマ、ペルシャ、インド、中国、日本へと伝播していきました。その過程で文様は地域特有の文化や宗教・風土とともに変遷し、様々なバリエーションを生みだしていったのです。

 例えばメソポタミアでは葡萄を、中国では宝相華(蓮華・パルメット・石榴・牡丹などを組み合わせた空想上の花文)を、そして日本では菊を唐草文様と組み合わせるなど、それぞれの地域文化との融合を見事に果たしながら広がっていきました。研究者によると、この唐草文様は、人間の憧れである「尽きることのない生命力」を表し、同時に「かなわぬ夢」を託する文様であるといわれています。

必見は「染付 花唐草文 瓢形瓶」と「染付 蛸唐草文 大蓋物」

 今回ご紹介したい作品は「染付 花唐草文 瓢形瓶」と「染付 蛸唐草文 大蓋物」です。

 「染付 花唐草文 瓢形瓶」は、17世紀末~18世紀初めに制作された、高さ31.8cmの堂々とした瓶で、小菊を思わせる花弁を前面にして葉と茎を規則的にあしらっています。発色の鮮やかな染付と生地の白さの対比は優美且つ品格に溢れています。



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『染付 花唐草文 瓢形瓶』  戸栗美術館所蔵 

 一方の「染付 蛸唐草文 大蓋物」は、18世紀に制作された、高さ18.5cm、胴径25.1cmのどっしりとした安定感ある蓋物です。渦巻状にぐるぐると繰り返される線の上に、吸盤のある蛸の足を想像させる蛸唐草が落ち着いたコバルト色で描かれた逸品です。

 一級の美術品を堪能し、同館を出てすぐ近くにある「鍋島松濤公園」のベンチに余韻を味わいながら一人腰掛けました。

 樹間に揺れる真夏の木洩れ陽を浴びて、エジプトからシルクロードそしてわが国へと、時空を超えて連綿と続く古今東西の名工たちの技とロマンに思いを馳せたものです。

戸栗美術館 http://www.toguri-museum.or.jp/

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