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すきま市場を見る目を
『芸術原論』で養う

  • 澁川 祐子

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2006年9月13日(水)

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 ビジネス指南書や起業のハウツー本を読んでいて、いつもひっかかることがある。

 成功の秘訣として、いとも簡単に「既存市場のスキマを探せ」だの「潜在的な需要を掘り起こせ」だのと書かれていることだ。

 ありそうでなかったモノやシステムを考え出せれば、成功への扉を開いたも同然だろう。そんなこと、誰だってわかっている。その“スキマ”や“潜在的な需要”が見つけられないから、みんな苦労するんじゃないか。肝心なところにきて当たり前のことを言わんでおくれ、とツッコミたくなる。

根っこを掘り起こす視点が学べる

 ありきたりのビジネス書を読むくらいなら、代わりに赤瀬川原平の『芸術原論』をおススメしたい。

 オイオイ、芸術なんてビジネスの対極じゃないか、と思うかもしれない。だが、思い返してほしい。赤瀬川原平といえば、『新解さんの謎』や『老人力』などのヒットメーカーである。

 『新解さんの謎』では無味乾燥と思われてきた国語の辞書を、おもしろおかしく説き明かした。『老人力』では老いによる不具合をプラスに反転してみせた。いつだって世の「当たり前」のスキを突いて新しい価値を創造し、そして世間に歓迎されてきた。いうなれば、赤瀬川原平は「スキマをみつける名手」なのだ。

 本書は、そんな赤瀬川氏が自らの原点である、芸術の根っこを掘りおこそうとしたものだ。芸術が形になる以前の自意識や触感からはじまり、モネやゴーギャンなどの名画、1960年代の前衛美術、超芸術トマソンの発見と路上観察、果ては千利休の侘び寂まで、筆はあらゆるところへ飛んでいく。

まずは「じろじろと見る」こと

 話題は一見して突拍子もなかったりするのだけれど、この本は最初から最後まで赤瀬川流の「モノの見方」に貫かれている。それは、とにかく身の回りのモノを“じろじろ見る”という姿勢だ(そういえば、著者は『じろじろ日記』という本も書いている)。

 たとえば千円札。庶民にはもっとも身近なお札だが、何がどう描かれているかと問われれば、実は多くの人がちゃんとは覚えていない。そのことに気づいた赤瀬川氏は、千円札を執拗に模写して模型作品をつくりあげ、それでもって通貨偽造のかどで裁判にかけられてしまった。

 それでもなお“じろじろ見る”ことをやめない赤瀬川氏は、視線を路上へと移し、今度は都市に存在する無用の長物に目をとめた。

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