「書物漂流」

すべてを語る数字、数学

『黄金比はすべてを美しくするか? もっとも謎めいた「比率」をめぐる数学物語』 マリオ・リヴィオ著 斉藤隆央訳 早川書房刊 2000円(税抜き)

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2006年9月8日(金)

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『黄金比はすべてを美しくするか? 最も謎めいた比率をめぐる数学物語』 マリオ・リヴィオ著 斉藤隆央訳

 古来、四角形の形について縦横の比率がもっとも美しくなるのは1:1.61803398・・・という比率だと言われてきた。この比率は実際にあらゆるところに出現する。人間という知能を持った動物の感覚が、最も美しい比率である、と認定したのだ。アテネのパルテノンの門構えに黄金比が見いだせる。ダ・ヴィンチやジオットの絵画にもある。

 ところが黄金比は無理数であり、小数点以下無限に続いていく。πと同じように、黄金比の常数はφ(ファイ)と呼ばれ、ある程度のケタ数で放り出してある。そのせいかどうか、πとφは日常生活のどこにでも現れる無理数とも言える。見る人が見れば無理数は美しいものだ。

 黄金比について紹介する時に、まずフィボナッチ数列のことを知らなくてはならない。フィボナッチは13世紀のピサで活躍した男である。インド数字(アラビア数字)を西欧にもたらした男と言ってもいい。ちょうど名高いピサの斜塔の建設が始まる頃だった。

 では数列(ちょっと固い言葉だが、なに、数が一定の規則性を持って並んでいるという意味だ)の話を始めよう。1、1、2、3、5、8、13、21と、ここまででも数列の規則は分かるだろう。つまり、前の2つの数字を足し合わせたものが次の数になる、だけのことだ。次は言うまでもなく34だ。

 今度は割り算だ。フィボナッチ数列のある数を(34としよう)1つ前の数字(21)で割ってみる。ポケット計算機で試してみるとよい。数が大きくなればなるほど、答えは1.6から離れないことに気づくはずだ。1.6とは黄金比の定数の最初の2ケタ、つまりφではないか。

 フィボナッチ数は自然界のあらゆるところに現れることが、数多くの数学者たちの研究で明らかにされてきた。それはすなわち黄金比が自然界にありふれたものであることも物語っている。

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著者プロフィール

松島駿二郎
(まつしま しゅんじろう)

松島駿二郎

海外ガイドブックなどの取材、編集歴30年、訪問国と地域は100以上。主要な著書に「ケルト紀行」(JTB)、「ショショニ族の魂」(筑摩書房)、「鎖国をはみ出た漂流者」(筑摩書房 )、「タスマニア最後の女王トルカニニ」(草思社)、「異国船漂着物語」(JTB)など。

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