「社長の本棚」

樫野孝人IMJ社長(後)
〜「読書は戦い」

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2006年9月21日(木)

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樫野孝人 IMJ社長

 おもしろかった本について語るとき、自然と言葉が勢いづく。そのことを指摘すると、自らを「紹介魔なんで」と称して笑った。

 撮影の合間、そんな「紹介魔ぶり」を証明するエピソードが飛び出した。広報の担当者が「社長は忘れていると思うんですが」と前置きしながら、社長から本をもらったことがあると語ってくれた。それは、彼女がIMJに内定したとき、仕事の心得を説いた『にわとりを殺すな』(ケビン・D. ワン)という本を贈られたという“ちょっといい話”だった。


※(お薦め本リストはこちら


 よかった本は、うちの社員やグループの役員、社長仲間とかにも薦めます。この前も、役員に月1冊「はい、課題図書」って出しておいて、それについて合宿で議論をしたんです。そのうちの1冊が『成功者の告白』(神田昌典)。このなかに、社内のムードをよくするための一種のゲームが出てくるんですね。

 ボールを持った人が24時間以内に起こったいいことを話したり、「承認の輪」という身近な人を称賛したりする。合宿のとき、実際にこれを役員全員でやってみたんです。「誰々さんと一緒に働けてすごくよかった、なぜならば……」と話しながら、ボールを回す。なんか気恥ずかしいけど、いい感じになるんです。結構よかったので、ほかの部でも試しているみたいですよ。

『仕事は楽しいかね?』(デイル・ドーテン)

 それから、今年のIMJの社内向けスローガン「チャレンジ・チャレンジ・チャレンジ」は『仕事は楽しいかね?』(デイル・ドーテン)からきてます。よく変化する企業だけが生き残る、と誰もが言いますよね。だけどみんな変化は怖い。でもこの本は「人って変化することは嫌いだけれども、試してみることは誰でも好きなんですよ」という言い方をしている。「試すことをおもしろがれるマインドや環境があれば、みんなが楽しんでチャレンジできる」というコンセプトが書かれているんです。この考え方は絶対にいけると思ってスローガンにしました。



 本を読んでいいと思ったことは、すぐに取り入れる。これまでとは違う切り口やコンセプトを本のなかに発見すると「やられた」と思う。そして、負けずに何かを考えだしたくなる。本を読むときはいつも「読みながら戦っている」状態なのだ。

 そこで、これまでに“「やられた」と思った人”を尋ねてみると、「大前研一」「中谷彰宏」という超有名人2人の名前が挙がった。


 記憶する限りは「道州制」なんて言いだしたのはたぶん、大前研一さんが最初のような気がするんです。そういう新しい世の中のくくり方とか、概念とかみたいなことを話される人は、僕はすごく好きですね。

 中谷彰宏さんは、一部では「これが本なのか」という人はいますけど、僕は彼の考え方をすごくおもしろいと思っているんです。「しょせん本なんて2割参考になる部分があったら大儲け」っていう発想とか。あと『面接の達人』も、「あれは本じゃなくてシステムなんですよ」と言っていてね。本を読んで就職活動をやった人が、「この企業はどうだった」「面接はこうしたほうがいい」と返してきて、それが来年のコンテンツになる。そうして「男子編」「女子編」「商社編」「銀行編」というように、自己増殖できるシステムなんですと。

 いまインターネットでやっていることを、あの人は当時、書籍でやっていたんですから素晴らしいですよ。あの人は作家じゃなくて、アナログメディアでインターネットをやっていた人なんです。


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著者プロフィール

澁川 祐子(しぶかわ・ゆうこ)

フリーの物書き。1974年、神奈川県生まれの東京郊外育ち。ビジネスからサブカルま で幅広く執筆。書評サイト「review-japan」編集部員。最近は、本と の出会いの場「グラデーションブックス」の起ち上げに奔走。



このコラムについて

社長の本棚

社長の本棚――。そこには通常のインタビューからだけでは伺い知れない、社長の素顔が隠れている。幼少時代の愛読書、人生を変えた1冊、経営者としてのバイブル本、意外な趣味の書…、ふだんはなかなか覗くことのできないあの社長の本棚をこっそり拝見!

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