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巨人、英雄、覇王の物語

『草原の覇王 チンギス・ハーン』津本陽著 PHP研究所刊 1800円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2006年9月22日(金)

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『草原の覇王 チンギス・ハーン』津本陽著

 歴史人物評伝に定評のある著者津本陽が、モンゴルの大草原に挑んだ。

 チンギス・ハーンはおよそ1155年頃にモンゴル族の貴族の子として生まれた。幼名テムジンといった。モンゴル高原は日本のおよそ5倍以上もある大平原に、数十万人ほどの遊牧民が住んでいた。

 永久凍土(ツンドラ)を表土が薄く覆うような土地柄なので、農耕には適さない。緑は薄く、馬、羊を養うにやっと。草原の部族間では、土地と緑を巡るなわばり争いが絶えない。誰もが自分の生存のための命をかけた戦いに明け暮れている。

 テムジンが何度か命の危機をすり抜けて、成年に達し得たのは、1つの奇跡だった。草原の掟はときに残酷で、容赦ない。裏切り者は家族まで含めてすべてを殺す。復讐さらに容赦なく、部族を全滅させる。このような世界でテムジンが一頭抜け出していったのは、彼の公平感覚だった。獲物は皆で等しく分ける。このこと1つがテムジンを世界史上の英雄に仕立て上げた。

 また戦術的な天才もあった。しかし、武器のための物資は草原では皆無だ。武器はイランやウィグルの隊商たちが運んでくる。チンギス・ハーンたちは草原で略奪した物資や塩を武器とを交換しながら、直実に武力を富ませていった。

 塩は平原では金に値するものだった。草原での騎馬戦ではモンゴルの兵士たちは向かうところ敵なし。巧みな馬術で疾風のように地平線から現れ、殺戮と略奪をして、また疾風のように去っていく。

 チンギス・ハーンはやがて伝説となり、地平線上の土煙とともにユーラシア大陸の脅威となった。モンゴルがくる、と聞いただけで逃げ出してしまう部族や国もあった。

 モンゴルの弓は長さ1.5メートル、バネのような力を持った木材を芯として、牛の角や腱などを使って強化した強力なもの。矢は90センチほどのもので、毒が塗られた。モンゴルの矢の射程や速度は、当時の弓矢よりも遙かに速く、遠くまで到達した。

 武装したハーンの舞台が草原を密集体型で進むと砂煙が立ち上がる。地平線上か稜線の彼方に砂煙の予兆が見えたら、敵対部族は逃げ出すようにもなった。チンギスは西へ西へと征服範囲を広げ、草原上空に覇王の伝説をまるでパオのように覆い被せた。

 チンギスの末裔たちは、蒙古高原に元という国を立ち上げ、やがてヨーロッパ、日本などを脅かす存在になっていった。

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