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地下鉄の『運転』は毎日やっても飽きない。その心は?

31種類の操縦士たちに張り付いた異色ルポルタージュ

2006年10月4日(水)

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 スキーのジャンプ競技の選手が空中に飛び出した瞬間、体に揃えた両手の指先で、飛行姿勢を微妙にコントロールしているところを目撃した著者は、発見したそうです。これは「運転している!」と。

 著者は、リレハンメル・オリンピックのメダリストの西方選手にこの一件を早速ぶつけてみました。答えは、「手を動かしているときは、失敗したときなんです」。あの手は、ミスしたから動かしているのであって、ジャンプは空中に飛び出す踏み切りの「蹴り」で決まり。修正は利かないのだという。

メカの詳細もさりながら、「会話」に惹かれる

 出鼻をくじかれたものの、著者の取材はここからが始まりです。知るとは、仮説を立てては捨て、理解するたび「分からない」が見えてくることの繰り返しだとも言えるでしょう。

 本書は副題にある通り、31種類の乗り物の操縦ルポです。「運転」の様子を間近で目撃しながら、じっくりとインタビューしてゆく。相手は、それぞれ運転のベテランです。

「つまり走っとる工場みたいなもんです」
 とタンカーの機関長。

「こーんなもん、だれでも運転できます」
 さも、大したことではないかのように語るSLの機関士。

 語り口は様々。路線バス、セスナから潜水艦、熱気球、乗馬など、範囲はバラエティーに富んでいます。メカニックの詳細の説明が売りなのでしょうが、機械オンチのわたしは、心をほぐし会話する場面に惹かれました。

「1週間に2日休めますけど、2日目はもう運転したくなりますから。同期で入った仲間からも、いまのところやんなっちゃったって話は聞きませんね。運転すると、毎回違うんですよ」

 語り手は、23歳。鉄道高校を卒業し、地下鉄の運転士となって3年目の武井さん。「5歳のとき、家族で田舎から引っ越してきて、丸の内線に乗るようになったんです。ショックだったんです」。真っ暗なトンネルにもぐる電車に興奮し、「地下鉄の運転士」になると決めた彼は、子供の頃の夢を実現したのでした。

地下鉄の運転で、乗客の表情が変わる?!

 この本を読むまでは、あの地下鉄の運転が「朝、昼、夜で変化している」とは想像すらしませんでした。荷重や車両のコンディションによって、操作は異なるのだそうです。それ以上に意外だったのは、運転士の目線です。武井さんは、こんなことにまで気づいている。

「自分の運転のしかたによって、駅に下りたお客さんの表情が変わるんです。ラッシュ時に、前の電車とちょっと間隔が空いちゃって、回復運転でブレーキも詰め気味にやってると、みんなの髪がちょっと乱れていたりとか」

 乗客の負担を軽くするのが、満足感につながるという。ちょっぴり優等生っぽいけれど、「仕事をしているぞ」という生き生きした様子が伝わってきます。

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