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週末は上質の時代小説に親しむ

『鬼平犯科帳』(1)新装版 池波正太郎著 文春文庫 515円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2006年10月27日(金)

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『鬼平犯科帳』(1)新装版 池波正太郎著

 鬼平シリーズは、文庫版だけでも24巻になっている。一冊平均6話としても、150話近くになる膨大なシリーズだ。

 鬼平は幕府の役人で火付盗賊改方の長官を務める重要な役務に就く男。剣術にすぐれ、かつ、捜査に当たっては、切り捨て御免、という絶大な権限を持っている。勧善懲悪だけではなく、うまいものを好み、女にもとても弱い。探偵小説顔負けの推理と、ほろ苦い人情味をもって犯罪に取り組む。

 それでいて、ステレオタイプに落ち込まない。だからこそ150話も続いたのだろう。一編は10~20分あれば読めるのだが、読み終わったら、次の編を読みたくなる。そんな工夫も巧みなものだ。

 また江戸の下町の味についても、各編に触れられている。第(1)巻の解説は植草甚一が書いている。地下鉄で乗り合わせた客が2人まで、鬼平のシリーズを「オール讀物」で読んでいた、と考現学的な報告まである。植草の解説を「おまけ」と考えると、得した気になる。

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『深川黄表紙 掛取り帖』山本一力著

『深川黄表紙 掛取り帖』山本一力著 講談社文庫 629円(税抜き)

 これを何シリーズと呼べばいいのか。黄表紙シリーズか、あるいは掛取りシリーズか。掛取り帖とは、商売の記録を書きつけた帳簿のこと。普通は表紙は白なのだが、個人用の裏帳簿は黄色なのだ。

 4人の若者、定齊売りの蔵秀(ぞうしゅう)、長身男装の雅乃、文師辰次郎、飾り行灯師宗佑の4人が、豪商や、賭博師、大店などが抱え込んだもめ事を、頭を絞って解決していく。

 何百万両といった大業も見せる。アイデアを4人で煮詰め、大店にプレゼンテーションをする。そして、入念な準備の後、商機を逃さず売りに出る。しかも、大店のプレステージを高める配慮も忘れない。これって、現今の総合商社のやり方じゃないか。

 時代は元禄、「生類憐れみの令」が江戸に行き渡っている。ちょっと分かりにくいのが蔵秀の「定齊売り」という商売。これは上方の薬種問屋から仕入れた丸薬などを担ぎ売る行商のことだ。江戸中回って人々の動向(トレンドですな)を吸い上げることができる商売だ。

 桁違いに大量の大豆を抱え込んだ大店がある、と聞き込んで、4人は頭を突き合わせて合議する。そしてアイデアを実行に移すべく、大店に話を持ちかける。大量の余剰品を抱え込んだ商社、あるいは米の余剰に悩む国などに、何事もアイデアと実行する意欲ですよ、と言っているような「端午とうふ」という短編は爽快だ。

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