• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「ずんずん調査」で分かった、80年代は『若者殺しの時代』

若者であることが損になったのは83年から、らしい

  • 石原 浩樹

バックナンバー

2006年11月8日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 ぶっそうなタイトルだね。実際には誰も殺されません。著者は、比喩として現代が「やんわりとだが若者は殺されてゆく」時代だと言う。

 ふーん、時代論か…。たしかに、オフィスを見渡せばさまざまな世代の人間がいる。

「どの時代も大なり小なり…」ではないらしい

『若者殺しの時代』 堀井憲一郎、講談社現代新書、700円(税抜き)
『若者殺しの時代』 堀井憲一郎、講談社現代新書、700円(税抜き)

 1950年前後に生まれ、学生運動まっさかりの思春期を送った「団塊の世代」。彼らはやがてモーレツサラリーマンへと変身していく。80年代前半に成人した若者たちを指す「新人類」という言葉もあった。オジサンには理解できない新しい感性や価値観を持ち、“オタク”第1号も彼らの中から生まれる。フリーター世代のトップランナー。また、70年代前半に生まれて大学卒業時に就職氷河期が到来したのが、いわゆる「団塊ジュニア」だ。

 それぞれの人格を超えて、世代間には埋められない溝がある。うん、それは分かる。でも、たいていの若者にはお金がない。経験値も足りない。その中で大なり小なり悩みを抱えて生きている。いつの時代もそうだよね。今が特別ツラいわけじゃないよね。というか、そういうのって比較しようがないよね。

 僕はそう思っていた。でも、この本を読んでちょっと考え方が変わった。

 著者の堀井憲一郎氏は“調査系”コラムニスト。11年続く『週刊文春』の連載「ホリイのずんずん調査」では、「ひたすら数える」という手法でいろんなことを調べてきた。データの出典は政府統計でも専門家の分析でもない。なぜなら、「テレビドラマで役者が笑った回数」、「ディズニーランドのアトラクションの待ち時間」、「スパムメールの差出人の女の子の名前」という、要するに誰も調べないテーマばかりだから。自分で行って、見て、数えるしかないのね。

 しかし、何でもネット検索で済ませがちな今だからこそ、こうした半径3メートル以内のフィールドワークは妙な説得力を持つわけで。本書では、これらのデータを基礎資料として、いつから「若者であることが損な時代」になったのかを検証している。

 で、いつからなのか。

若者に売れば儲かると社会が気づいた

 どうも、1983年かららしい。この年の12月、雑誌「an・an」が「クリスマスはシティホテルに泊まって、朝、ルームサービスで彼と食事をとろう」という特集を組んだ。今となっては想像しにくいが、それ以前はクリスマスに関 する記事はほとんどなかったという(へえ~)。やがて、クリスマスは「恋人たちの日」として定着していく。裏を返せば、この頃から、「クリスマスを若者に売ればもうかる」と大人が気づき始めたのだ。

 また、83年は東京ディズニーランドが開園した年でもある。熱烈なディズニーリゾートマニアでもある堀井氏は、開園当時とその数年後では混雑具合が天と地ほども違うということを身をもって体験した。たった4年でディズニーランドは「国境に設けられた難民キャンプのような混雑」ぶり。そして、彼の調査によれば、青年男子が楽しめそうなアトラクションの比率は年々下がってきている。

 要するに、「80年代を通して女の子はお姫さまになって」いったのだ。お姫さまはお金がかかる。もちろん、男だけが不幸になりましたというわけではない。強くなった社会や経済のシステムに若者が徐々に取り込まれていっている、そういう話です。“いや、おれは自由に生きている”といっても、それは「錯覚」だ。「本当は若者という分野が作り出され、欲望を刺激し、商品を並べ、金を巻き上げていくシステムが動き出しただけだったのだ」と堀井さんは言う。

 面白いのは「セックス」から「エッチ」への変換が始まったのも80年代、という指摘。

コメント1

「超ビジネス書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

誰もやらない領域を根気強く続けられるかが成功の秘訣。

田坂 正樹 ピーバンドットコム社長