• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

コーチングの極意は『りんごは赤じゃない』にあり

結果を出せない部下をホメられますか?

  • 奥原 剛

バックナンバー

2006年11月29日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 学生結婚をして、専業主婦になった。夫の転勤で、引越しをくり返した。「社会とのつながりは夫だけ」という毎日。だが夫は、「お前はバカだ」「稼いだこともないくせに」と見下し続けた。「私も何かで認められたい。自立しよう」と、35歳の秋、2人の息子を連れて家を出た。

 その10年後、太田恵美子は、居場所を得た。43歳で中学校の美術教師になるや、教え子の作品をあちこちのコンクールで受賞させ、“カリスマ”と呼ばれる指導者になったのである。本書は、教師の経験を持つノンフィクションライターが、その卓越した指導力の秘訣を探ったルポルタージュだ。

「痛切な願い」の三角形とは

『りんごは赤じゃない 正しいプライドの育て方』 山本美芽 新潮文庫 476円(税抜き)
『りんごは赤じゃない 正しいプライドの育て方』 山本美芽 新潮文庫 476円(税抜き)

 太田は、「誰からもまったく認めてもらえない悲しさを、教師になる前の専業主婦時代に、いやというほど味わっている」。だから、「人に認められる喜びを、子どもにも経験させたい」という「ひとりの人間としての痛切な願いがある」。この「痛切な願い」こそが、太田の指導力の源泉と見える。

 本書から、太田の指導法を分析すると、「痛切な願い」を中心とした三角形になるだろう。3つの頂点は、“自立させる”、“認める”、“自由を与える”だ。

 “自立させる”は、叱り方によく表れている。太田は、自費で植物を購入して、美術室を花畑のように飾っている。美しい空間に生徒を迎えることで、「大切に扱われてるんだ」と実感してもらうためだ。その美術室で、授業が始まっても騒がしい生徒を、彼女はこう叱る。「あなたたちは、美術室で待っている先生の心を踏みにじったんですよ」。生徒が、「気をつけ、礼」という授業前後の挨拶をおろそかにした時は、「イヤだ」と言う。ふつうの教師なら、「静かにしろ!」「やり直し!」と怒鳴るところだ。

1%から成長を認めよ!

 怒鳴られただけの生徒は、服従はしても、成長はしない。ただ言われた通りにして、自分の頭で考えないからだ。一方、太田に叱られた生徒は、何がいけなかったのかを考える。この指導には、夫に服従を強いられ続けた、苦い経験が活かされているのだろう。

 「認められる喜び」を与えるために、太田のほめ方は実に細やかである。「ほめ方の天才になる第一歩」は、「1%の段階から認める心を持つことだ」。「『いい結果を残したから素晴らしい』のではなく、『いい結果につながる行動を起こした』だけで」ほめる。そのために、「小さな一歩を見逃さない観察力と、それを認める心を持つ」。

コメント2

「超ビジネス書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック