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古民家再生の魅力 第1回

  • 桶谷仁志

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2006年11月10日(金)

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 古い民家のデザインや優れた機能はできる限り生かしながら、現代の生活に必要な機能をプラスして、再び生き返らせる――こんなコンセプトで美しく、居心地の良い住居を造る「古民家再生」がいま静かなブームになっている。定年後の生活をにらんで、第2の人生をより豊かにする方法として、古民家再生を決意する人も少なくない。

矢野口義宣さん宅の書斎兼オーディオルーム
矢野口義宣さん宅の書斎兼オーディオルーム

 長野県安曇野市に住む矢野口義宣さん(64歳)の場合は、2004年春に長年勤めた郵便局を退職したのをきっかけにして、それまで事情があって十数年間も人が住まないままに放置してあった実家に大きく手を入れ、再生した。

 畳の部屋をフローリングにしたり、床暖房を入れるなどしてモダンな機能を加え、古い民家の面目を一新。防音設備を完備した書斎兼オーディオルームには、SP盤時代から収集したレコードが奏でる温かみのある音が響く。

 一方、再生後の矢野口家を訪れた親戚は、再現された間取りや古材の醸し出す落ち着いた雰囲気に感動し、しきりに昔を懐かしむという。矢野口さんは2005年秋から地元にある安曇野高橋節郎記念美術館の館長に就任し、「(家の再生とほぼ同時に)自分の人生も全く新しくなった感じがします」と満足げだ。

 この「古民家再生の魅力」シリーズでは、矢野口さんのように、古民家再生によって満足すべき結果を得るためには、どうすれば良いのかを順次レポートしていく。シリーズ後半では、移築や古材の活用を含めた古民家再生のための実用的なノウハウも取り上げる予定だ。

 その大前提としてしっかり理解しておくべきなのは、古民家再生とは何かという基本的なコンセプトと一般的な再生の手順だろう。そのために真っ先に教えを請うたのは古民家再生の草分けであり、第一人者として知られる建築家の降幡廣信さん(安曇野市三郷)である。上の矢野口家も、実は降幡さんの最新の作品なのである。

 降幡さんは関東学院大学建築学科を卒業し、同大の建築学教室助手を務めた後、安曇野市にある家業の山共建設株式会社の跡を継ぐ。1980年代初めから本格的な古民家再生に取り組み、これまでに再生した民家は、全国の1都2府38県、220軒以上にも及ぶ。

 中でも最も典型的な作品として自他共に認めるのは、長野県松本盆地から伊那谷にかけて分布する「本棟造り」と呼ばれる形式の民家を再生したケースである。そこで手始めに、降幡さんが5年前に手がけた本棟造りの民家にお邪魔し、降幡さんの解説の助けを借りながら、古民家再生の実際を追体験してみることにした。

北アルプスの麓で典型的な本棟造りの外観を見せる上条家
北アルプスの麓で典型的な本棟造りの外観を見せる上条家

 太く、黒光りする梁が吹き抜けの空間で交差し、微妙に湾曲した松材ならではの味わい深い造形を見せる。かつては囲炉裏があった居間の一角には、ひときわたくましい欅の大黒柱が立ち、幅の広い差鴨居をがっしりと受け止めている。

 この堅固な木組みが、明治の初めからもう130年以上もこの家を支えてきたのだ。そう考えると悠揚とした時の流れを感じ、自然に神妙な気持ちになってくる。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師