「ほぼ日経ビジネスオンラインSpecial」

イマっぽい現象をイマっぽい言葉で説明しても、“人体”とは合わないんです

イトイさんに聞く「Web2.0」(その2)

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2006年11月2日(木)

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この記事は、テキストと動画の組み合わせで多角的にお届けします。ぜひテキスト記事と併せて動画をご覧ください。(日経ビジネスオンライン)

NB Online(=NBO) Web2.0は「人々がモノ・情報交換をすることが当たり前」という前提で技術、サービス論が進んでいるように見えます。この点がウソっぽさ、というか違和感があります。

今回のインタビュー映像です。こちらも併せてご覧下さい

糸井 ウソだとは思わないけど、インターネットで起こっている今っぽい現象を説明するのに、今っぽい言葉で説明しても、結局、人体と合わないんだと思うんですよ。アメリカ人が2.0のコンセプトを最初に言った。それで、ちょっと調べて見てたら、定義があるわけじゃない・・・。

 当たり前ですよね。あれは昔、ヒップとスクエアに分けたのと同じで、こっち側に何を入れて、こっち側に何を入れようか、という(議論で、新しい概念を説明する)ことなんだよね。

NBO アメリカ人の好きな言葉、2分法か。「1」と「2」があれば、「どっちだよ」って考えたくなる。INとOUTもそうでしたね。これからの時代、トレンドを示す「IN」と「もう古い」という「OUT」。

糸井 実は、僕は3回OUTに入れられたという誇りがあるんですよ。(笑)

NBO もちろん時代が違うんですよね。

糸井 時代時代で、その都度「もう、あいつじゃない」と言われたんです。

 1回目は正直言って腹が立った。だけど、2回目の時には、それってすごいなと思って。また見た時には、「ああ、俺、これで生きていこう」と思ったんです。(笑)
 取り上げられながら、何度も何度もあいつじゃないと言われている。というのは最高ですよね。それがいいと思った。この芽を育てていこう、って。

 新しい概念が生まれた時に、新しい尺度じゃないと語れないものは、やっぱり無理があるんですよ。体で言えば、神経の突出した部分では説明できることなんでしょうけど、脳を含めた肉体にそぐわないものは、理解されないし使えない。死んじゃうんだと思うんですよ。

俯瞰できると神になったような気がする。でも、違うんだよね

 今、AI(人工知能)という概念を誰も語らなくなりましたよね。この間、『A.I.』という映画の子役の話題が出て、ふと思い出したんです。あ、誰も使わないなって。

 AIについての研究は今もしているんですよ。でも、テクノロジーとしてのAIは、いろんな分野で取り入れられている。だからもう「AI」という形だとか姿をしてなくてもいいんですよ。あれは語るための言葉だったけど、使うための言葉じゃなかったんですね。

 同じように、Web2.0も1.0の違いは何か。「みんなとの情報の交換がしやすくなった」とか「情報を発信している無数の点、その点滅している状態を俯瞰できるようになった」と言いますよね。俯瞰できるとね、まるで自分が神になったような気がするんです。
 でも、実際は、事実は俯瞰なんてできない。1点ごと見ていくしかないんですから。
 だったら、さっきの「キリストとソクラテスの話」じゃないですけど、「肉体・ボディー」に近いところで考えていかないといけない。

 ネットって何ですか、と聞かれれば、みんな「情報交換の話、交換の市場です」と答えますよね。では、市場って何んだろう、と。

 そこでね、僕は最近、歴史家の網野善彦さんの本をまた読み返しているのですが、面白いのは、もともと「市」が立った場所って、人々がマージナルな神の場所と考えていたところだったんです。

 つまり、市場の「場」は人間の範囲じゃなくて神の範囲。その「市」は良い神、悪い神、悪霊、怨霊、この世のものでないものが仕切っていた、と考えられていた。

人々は人間社会ではない場所にモノを持ち込んでは「この場所で起こることは、俺らのせいじゃないです」と言って交換を成り立たせていたんです。

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著者プロフィール

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)

日経ビジネス副編集長。



このコラムについて

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日本有数のクリエイターにして、1日130万人が訪れる超人気サイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を主宰する糸井重里氏。スペシャルサイト「ほぼ日経 ビジネスオンライン」では、「糸井重里が今考えていること」を特集します。ベストセラー手帳「ほぼ日手帳」の秘密、糸井さんが唱える「公私混同」のお仕事論、「イトイ流Web2.0論」などなど、いろんな話題で糸井重里が今考えていることに迫ります。インタビューの回数は4回、計算しますと、のべ12時間になりました。そのインタビューの内容は雑誌とこのスペシャルサイトで、3カ月間に渡って公開します。
(瀬川 明秀=日経ビジネスオンライン)

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