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古民家再生の魅力 第2回

設計着手前の綿密な調査が重要

  • 桶谷仁志

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2006年11月17日(金)

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 古民家再生のための最初の手順は事前調査である。調査の結果、これまで変化してきた間取りや構造を旧に復し、創建当時のままの復原図を描く。次に復原図と現状をにらみ合わせながら設計を進めるが、家族の希望と伝統デザインとのバランスをとる作業は意外に難しい。上条家でいちばん問題になったのは居間の“明るさ”だった。

古民家再生の草分けにして第一人者、降幡廣信さん
古民家再生の草分けにして第一人者、降幡廣信さん

 古民家再生のためには、新築とはやや異なる手順が必要になる。明治の初めに建てられた本棟造りの家を再生するために、上条家では、建築家の降幡廣信さんの手で詳細な事前調査が行われた。

 まず最初に現状を平面図に起こし、その上で柱1本1本の位置や痕跡、家族の思い出話の聞き取りなどを参考にしながら、新築当時から現在まで、間取りや構造がどう変化してきたのかを調べ、細かく跡づけていく。

 上条家の場合、創建以来の最も大きな変化は、玄関の方向が90度変わったことだった。本棟造りは緩やかに傾斜する切り妻屋根を持つが、その妻側に玄関が設けられているのが普通だ。ところが上条家では、玄関が妻側の南向きではなく、東向きになるよう改築されていた。ご主人の上条猛夫さん(80歳)は、こう話す。

 「昔聞いた話では、ある年に、2階で飼っていたお蚕様が腐っちゃったらしい。風通しが悪くてね。それで家の入口を南から東に変えたんだそうです。いまから考えると、そんなことをするよりも、外に新しく蚕室を造ったほうが早いと思うんだけれども、囲炉裏の煙で2階の蚕室の温度を管理していたわけだから、そうもいかなかったのかな」

 さらに戦後になると、かつて囲炉裏のあった南向きの居間には天井が張られ、それまでむき出しになっていた梁が天井裏に隠された。当時の価値観から言うと、長く煙でいぶされて煤け、黒くなった梁は、見苦しい旧時代の遺物にしか見えなかったのだろう。

 居間の南側に設けられていた式台(昔の玄関)も、その上に座敷側から続けて縁側が張られ、縁側の下に隠れるような形になっていた。

 こうした細かい変化を旧に復して描かれるのが、新築当時の間取り、構造を示した復原図である。この復原図と現状の平面図をにらみ合わせる形で、再生のための設計作業が進められる。

玄関はシンプルですっきり飽きのこないデザインに。上がり框が高く、居間との境界にある大黒柱にも存在感がある
玄関はシンプルですっきり飽きのこないデザインに。上がり框が高く、居間との境界にある大黒柱にも存在感がある

 設計の際には、家族の意見、希望も取り入れられる。降幡さんの設計と、猛夫さんの希望が一番大きく食い違ったのは、玄関と居間をどういう形で再生するかだった。

 新築された当初と同じように、玄関を居間の隣に、南向きで造り直すことには異論はなかった。ただし、猛夫さんは玄関の天井を吹き抜けにし、開放感と華のある空間にしたいと希望していた。

 また居間と座敷の南側にある瓦屋根の庇を従来より浅くすると共に、天井か壁に大きな天窓などを設けて自然光を積極的に取り込み、居間全体を明るくしたかったという。

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