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古民家再生の魅力【第3回】

  • 桶谷仁志

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2006年11月24日(金)

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 再生工事で特徴的なのは解体、嵩上げ、基礎の工程である。この手順を踏めば古民家は土台から甦る。上条家の場合、かつて2階で蚕を飼っていた関係で梁などの構造材の保存が良く、ほとんどが再利用できたために昔の面影を色濃く残す空間が再現できた。再生された上条家には、この家で育った親戚が頻繁に訪れて昔を懐かしんでいる。

 上条家の再生のための全体設計はほぼ終わった。次はいよいよ再生工事のスタートである。上条家は02年12月から解体、嵩上げ、基礎の工事に入った。この工程は、建築家の降幡廣信さんが独自に開発した古民家再生の手法の中でも特徴的な部分だ。

 古民家の一番の弱点は基礎(土台)の脆弱さにあるという。古い民家の基礎は、地面をつき固めて自然石を据え、その上に柱を建てる石場立てという構造がほとんどだが、この石場立てによる基礎は、年月を経ると沈下するケースが多い。

 良い木材を使い、丁寧な仕事がしてある民家の骨組は長い年月を経ても十分に使えることが少なくないが、肝心の土台が沈下するとその部分の柱は腐食し、家全体の水平・垂直の構造が歪んで、木の骨組全体もどんどん劣化していく。

 そこで降幡さんは、再生の際にまず民家の屋根や壁、床などを一度すべて取り外し(解体)、木の骨組だけになった建物を基礎から持ち上げる手法を採用した(嵩上げ)。そして石場立ての基礎を、コンクリートを使った布基礎と呼ばれる現代的な基礎と取り替える(基礎)。

 この解体、嵩上げ、基礎という手順を経て、木の骨組を土台に再度下ろし、定着させると、歪んでいた家の水平・垂直はピシッと元に戻る。古い民家は土台から甦り、以後は100年以上も十分保つものになるのだ。

居間の北側の鴨居上に設けられた神棚。これも明治時代の新築当時から上条家を見守ってきた由緒あるもの
居間の北側の鴨居上に設けられた神棚。これも明治時代の新築当時から上条家を見守ってきた由緒あるもの

 上条家でも、同じような工程を経て、築後130年もたった古い民家は立派に生命を吹き返した。この工程の途中では古材の汚れを洗い、腐食の具合をチェックして、使えない材料は捨て、その部分に新しい材料を補充していく。

 上条家では、屋根全体を全て新しい材料で造り直し、最新の塗装を施す鉄板葺きにした。壁や床などもほとんど新しい材料に取り替えた。この工程で、時には、将来的にコストのかさみそうな構造や間取りを思い切って大胆に切り捨てることもある。

 その判断が「復元」と「再生」の大きな違いである。「復元」は昔のままの直訳だが、「再生」は現代の生活を考慮した意訳だと言えば、少しわかりやすくなるだろうか。もっとも、使える材料はできる限り使うのが原則である。上条家の場合、天井裏に隠れていた梁などの構造材は、ほとんどが再利用できたという。若主人の盛榮さん(50歳)は言う。

 「お蚕さんを飼っていた関係で、2階全体に常に煙を回していぶしてあったために、梁などの古材の強度が保たれていたようです。降幡先生からは、解体して検査してみたら使えないかも知れないと釘を刺されていたんですが、おかげさまで主なものは全部使えました」

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