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粋ってことがわかんなきゃ、江戸っ子じゃねぇ

『とんびの独言 鳶頭政五郎覚書』 山口政五郎著 角川書店刊 1600円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2006年11月17日(金)

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『とんびの独言 鳶頭政五郎覚書』 山口政五郎著

 著者の最初の記憶は五歳のころ半纏を着せられて、出初め式に出たことだという。とんびとは鳶職のこと。江戸時代からの江戸っ子襲名で、今まで来た。鳶職の口調で語り下ろしていく訳だから、スピード感がたまらない。威勢がいい。

 喧嘩と火事は江戸の華。火事や喧嘩があると誰もが鳶の登場を待ち受ける。鳶は江戸の守護神だった。

 鳶職が建設現場から火消しにまで職域を広げたのは、江戸時代八代将軍吉宗のご時世だったそうな。ご存じ南町奉行大岡越前守が町火消しの組織を作った。いろは四八組が火消し組織の起こり。これに川向こうの一六組が加わり、また「いろは」四八文字から「へひらん」(たぶん下品だからだろう)の四文字が削除され、代わりに「百」、「千」「万」「本」の四文字を当てたという。

 鳶職が火消しに転用されたのは、火消しに欠かせない二股の鳶口の付いた道具の使い方に長けているからだ。

 いざ、火事だ! ってことになると、自分の組の纏を先頭に、一番乗りを競う。そしてその証拠として、組の纏を高々と屋根に上げる。今度の火事も「ろ」組が一番だったな、と町人たちは噂しあう。

 ここで特筆できるのは、後から来た組の纏に次々に場所を譲っていくこと。屋根には何本もの纏が林立する。それを見て、江戸の人たちは、火消しが大勢がやってきたことを知り、安心する。

 「粋」って言葉がある。これを説明するのは難しい。まず、自分の仕事に自信を持っている人、先が見える人、気配りのきく人という風に並べていくと「粋」が見えてくる。

 オッ粋だねえ、なんて言われるのは表面的なもので、著者も言われるのは嫌いだ。粋は深いところで粋でなくてはならない。そして言われずして粋を感じさせなくてはならない。

何だか講義をきいている気にさせられる。

 ところで鳶の親方には腕から背中にかけての彫り物が付き物。山口親方の彫り物は「羽衣」。最初に目論んだのは「唐獅子牡丹」だったが、途中で彫り師の親方が突然亡くなって、急遽「羽衣」にかわったのだという。

 鳶が参加する仕事や行事が終わると、手拍子を打って手締めをする。全部無事に丸く収まったときには、お手を拝借、

 「ちゃちゃちゃん、ちゃちゃちゃん、ちゃちゃちゃん、ちゃん」

 で三、三、九度、最後の「ちゃん」で「九」の字に点を打ち、丸となる仕掛け。

 江戸時代からの纏のかしら、粋だねぇ、オッと素直に誉めちゃいけねぇ。
 粋じゃなくなるからな。

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