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「よい子」に居場所を用意せよ

~『頭のよい子が育つ家』筆者、四十万靖氏・渡邊朗子氏に聞く

2006年11月21日(火)

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 いじめによると見られる子供たちの自殺が報じられる中、宋文洲氏が11月2日に書いたコラム「いじめが自殺につながる日本の『空気』」が、非常に注目を集めた。読者の方々から寄せられたコメントは、16日現在で249件にのぼる。

 以下、一部を引用したい。

 中国で文化大革命が起きた時、僕はちょうど少年時代でした。僕はこの動乱の中に巻き込まれました。先祖が商売をしていた理由で、資本主義に染まった家族の一員であるとして、僕は周囲の友達から差別を受けました。これは、国の奨励の下で行われた、いじめでした。先生も正々堂々と、このいじめに加担しました。

 でも僕は、この時に「死にたい」と思ったことは一度もありません。

 僕にとって、家と家族は逃げ場だったのです。玄関を閉めると、そこは別の世界がありました。家族はけして「頑張りなさい」とは言いませんでした。「皆が狂っている。こんな世の中は長く続くわけがない」と毎日のように父や母は僕に声をかけてくれました。

 これは励ましになるのかもしれませんが、けして「今のこの状況に同化しなさい」と諭したのではなく、「周囲が狂っている。あなたは間違っていない」ということを言い聞かせてくれたのです。

 ここを読んで、すぐ思い出したのが四十万靖氏の発言だった。氏は弊社から8月に刊行された『頭のよい子が育つ家』の著者のひとり。この中で彼は、「家を子供の“居場所”にすること」を繰り返し訴えている。宋氏が指摘した点に別の角度から光を当てることができるのではないか。自社の本ということを差し引いても氏の意見を紹介する意味はあると考え、インタビューを行った。

四十万 靖(しじま・やすし)
エコス・コーポレーション代表。1959年生まれ、慶應義塾大学経済学部卒、82年伊藤忠商事入社、この時期にフランク・ロイド・ライト財団と関係を築く。2002年伊藤忠を退社、慶應義塾大学 SFC研究所訪問研究員。2003年慶應義塾大学とのライセンス契約により、住宅の総合コンサルティングを行う事業投資会社エコスコーポレーションを設立、同社代表取締役に就任。慶應義塾大学SFC研究所SIVアントレプレナーラボラトリ生活産業プロジェクト代表を兼任、現在に至る。

渡邊 朗子(わたなべ・あきこ)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教授(特別研究)。博士(学術)。日本女子大学家政学部住居学科卒業後、1993年コロンビア大学大学院建築都市計画学科修了。99年日本女子大学大学院人間生活学研究科博士課程修了。96年~99年慶應義塾大学環境情報学部助手、豪シドニー大学客員講師などを経て現職。次世代の生活空間のデザイン研究と併せ、建築家として住居やオフィス、および学習空間を対象に建築から家具・情報システムの実施設計に携わる。著書に『サイバード・スペースデザイン論』(慶應義塾大学出版会)など。


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四十万 こちらの宋さんのコラムは私も読みました。実に鋭いご意見だと思います。

『頭のよい子が育つ家』 四十万靖・渡邊朗子著、日経BP社、1300円(税抜き)
頭のよい子が育つ家』 四十万靖・渡邊朗子著、日経BP社、1300円(税抜き)

-- これを読んだときに、四十万さんの本をすぐ思い出したんです。

 中学受験を題材に取った『頭のよい子が育つ家』というタイトルの本ですが、この本が実例を挙げて訴えている内容は、いかに勉強をさせるか、ではなく、「家に、子供の居場所を用意しよう」というお話でした。居場所とはすなわち「会話・所属感のきっかけになる舞台装置」ですよね。

 「頭のよい子」は、安定した家庭から始まる。子供が安心してそこにいられる場所がまず必要だと。家がそのために役立つ装置になるにはどうしたらいいか、というケーススタディ集なのだと。いかがでしょうか。


忙しすぎる中で、失われていく居場所

四十万 最近僕がこだわっているキーワードは、実はまさしく「居場所」なんです。

 僕、子供が小学校、高校、大学といます。今いないのは中学生だけ。それで、いじめるにしても、いじめられるにしても、子供の話を聞いていていつも思うんですけど、いじめている方も、いじめられている方も結局居場所がないんですよ。これは共通しているんです。

-- いじめる側もいじめられる側も、学校の人間関係しかないと。

四十万 なぜ死を選んでしまうかというと、非常に極端な言い様だけど、究極の居場所が自殺なんですよ。

-- それは、家庭が子供の居場所になってないということですか。

四十万 そういうことなんです。何でそんなことになるか、家が居場所ではなくなってしまうのかということなんですけどね。ごく簡単な話で、現代人があまりに忙し過ぎるんです。

 先生も忙し過ぎるし、お母さんも昔みたいに専業主婦じゃなくなっちゃって忙しいでしょう。お父さんも、もちろん会社で忙しい。みんなが忙しいものだから、基本的に自分のことで精一杯になっちゃっている。結果として、みんな居場所がない。特に子供には。

-- そんな中でこの本の、有名中学受験に成功した「頭のよい子」たちには、家に居場所があったわけですね。言ってみれば、彼らの忙しい父親、母親には、どうやって子供たちとコミュニケーションを取るかという、ノウハウがあったということでしょうか。

有名中学に合格する子の「居場所」は

四十万 ある意味そういうとらえ方もできますね。本棚、家族の写真を飾る場所、伝言ボード、ポスト、みんな「会話のきっかけ」であり、「家族の中に、自分の居場所がある」ことを気づかせる仕組みですからね。

-- 有名中学に合格する、勉強「も」できる「頭のよい子」が育った家にはそういう仕組みがあると、200件のサンプルを通して気づかれたということですね。

四十万 きっかけは、子供はどこで勉強するのかな、という疑問でした。そりゃ子供部屋でしょう、と思いますよね。実際、お母さんに「子供部屋って何ですか」と聞きますと、「勉強部屋」だと答える方がたいてい7割以上です。

 でも僕は、それは本当かなと思ったんですよ。子供たちは自分の部屋で勉強するのかなと。そこをフォーカスして調べていったんですが、結果から言うと全然違っていたわけですよね。

 それはなぜかと言うと、中学受験するくらいの子供は、やっぱりまだ小さいから、母親に甘えちゃうわけですよね。だけどお母さんは「小学校4年生、5年生になったら部屋を与えなきゃいけない」と勝手に思っていた。

-- どういうアンケートを取って、どういう結果が出たんですか。

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「「よい子」に居場所を用意せよ」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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