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名インタビュアーは『声をなくして』も…

人生、人間、精一杯なさけなくてったっていいじゃないか

2006年12月6日(水)

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 ご存知の方もおられるでしょうが、著者の永沢さんは「名手」と評されたインタビュアーでした。それも、かなり稀有な。

 平均して雑誌のインタビューの仕事は、1~2時間が基本。腰の据わったもので、3時間。それ以上だと、取材する側も話す側もヘトヘトになります。ところが永沢さんはというと、3~4時間は短い方で、5~6時間が基本で、それ以上のロングランとなることもめずらしくはなかった。

『声をなくして』 永沢光雄、晶文社、1800円(税抜き)
声をなくして』 永沢光雄、晶文社、1800円(税抜き)

 こんな話が一杯あったそうです。大物ロックシンガーと温泉に浸かって、さらに話を聞いただの。イケメン俳優が「あの、まだまだかかりそう。…うん。あと1時間…いや、いやもっとかな…だから、先に食べておいて。ごめんね」と、パスタを茹でている新妻に、声を落として電話を入れていただとか。

 しかも取材中、永沢さんは、焼酎の水割りなんかを、ぐびくび飲んでいるのです。たとえ、それがどんな相手であろうとも。アルコールの助けを借りずに、人に会うことができない。とんでもないインタビュアーです。

 でも、最初はムッとはしても、なぜか取材を受けた人たちはそんな彼を許してしまう。しょぼくれた風体に、「しょうがねぇなぁ」とあきらめ、彼が相槌をうつにつれ、「でも、なんか面白そうだな」と次第に心を開き、あれこれツマラナイことまで話してしまっている。本当に、ツマラナイことを愉しむ人でしたから。

 そんな取材スタイルの蓄積で、代表作『AV女優』は出来上がっています。辞書ほどに分厚いインタビュー集。永沢光雄、唯一のベストセラー作品です。

 その永沢さんが、下咽頭ガンの手術を受け、声帯を除去されたのは2002年の夏のこと。43歳。遅咲きにして、さあ、これから彼の時代というときでした。人と対面するのを仕事とする職業人にとって、ピッチャーが利き腕をもぎとられるにも等しいことです。

 病後の声をなくした生活がどんなに辛いものか。欝と副作用。様々な痛みと不安がおそいかかり、眠ることすらままならない日々を書き記しています。本書は、ガン闘病記です。

 ところが、辛さを訴えれば訴えるほど、読者は笑ってしまいます。かしこまった同情など吹き飛ばしてしまいます。これはどうしたことなのか。

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