• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

黒い脳トレ『必笑小咄のテクニック』

「オチは見いだして演出するもの」だったのか!

  • 澁川 祐子

バックナンバー

2007年1月10日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 世の中とは悲しいかな、理不尽だと思うことがしばしば起きる。自分の力ではいかんともしがたい状況――たとえば取引先から無理難題を押しつけられるとか、仕事の成果を上司に横取りされてしまうとか――に遭遇したとき、みなさんはどう乗り切ってきただろうか。

 諦めるか忘れるか。はたまた、お酒を飲んで愚痴をこぼすか。まあまあ、それも良し。だが、もっと効果的にストレスを発散できる方法がある。それは、「笑う」というやり方だ。

エッセイストにしてロシア語通訳が掴んだ方法論

『必笑小咄のテクニック』 米原万里著、集英社新書、680円(税抜き)
必笑小咄のテクニック』 米原万里著、集英社新書、680円(税抜き)

 米原万里著『必笑小咄のテクニック』は、「笑い」のロジックの解明に挑んだ本だ。著者はロシア語の通訳で、歯切れのよいエッセイの名手としても知られる。

 日頃から古今東西の小咄(噺、ジョーク、ショートショートも同じ)に親しみ、自分でも無性に創ってみたくなったという。そして、小咄を解体し、分類し、いくつかの方法論に辿りついた。本書ではそうした探究の成果を惜し気もなく紹介、章ごとに応用問題まで用意している。

 なかでも要となるのは、「オチは見い出して演出するもの」という法則だ。まずは、問題として出された短文をみてみよう。

「当館の訪問者数はあまりにも少ない。世界的にも希有な歴史的遺構や遺物を数多く展示しているのにもったいないことです」

 この文章を「順序を変え、小咄にせよ」という出題なのだが、その回答例がこちら。

「当博物館は世界的にも大変貴重な、希有ともいえる歴史的遺構や遺物の宝庫である。なかでも最も珍しいのは、訪問者である」

 お見事。文章を逆転させ、少し手を加えただけで、何の変哲もない文章が小咄に様変わりだ。著者が威勢よく「最初からオチなんてない。オチにしてやるのだ」と宣言する通り、“前フリ”を周到にお膳立てするからこそオチが落ちるのだ、と腑に落ちる。

頭を動かして悲しみを変換

 だが、なぜだろう。いま一つ居心地が悪い。考えてみれば、大いに納得はさせられるのだが、「プッ」と吹き出すような笑いが込みあげてこない。どちらかといえば、ひと呼吸おいて「にやり」とする感じ。ブラックな笑いなのである。

 本書に「ガハハ」と笑って済ませる、お手軽なストレス解消法は書かれていない。それよりも、小咄をつくる「頭の動かし方」がミソなんじゃないだろうか。

 著者は、笑いが生まれるメカニズムを「予想していた展開とオチとの落差、ズレによって、常識や固定観念で凝り固まった脳みその筋肉が刺激されて痒くなったり、揉みしだかれて快感になったりする」と説く。悲しいことを悲しい、辛いことを辛いととらえていては当然、小咄は生まれない。悲しいことや辛いことをひっくり返す“発想の転換”が必要だ。

コメント0

「超ビジネス書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

富士山を目標にする人はいつか富士山には登れるでしょうが、エベレストには登れない。

澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長