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特集・自分を生きた女たち~林芙美子(2)「出世時代」

憧れの“成金女”になって、巴里を闊歩

  • 松島 駿二郎

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2006年12月22日(金)

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昭和6年(1931年)11月4日、こんな出立ちで芙美子はパリへ発った(写真提供:新宿歴史博物館)

 『放浪記』がベストセラーになったことで芙美子の懐は潤沢になった。一般的には、人はこういうときには、成金的に振る舞う。

 ある年の暮れ、新しい原稿を書いて、一金千円也が手に入った。そのときの大判振る舞いを。

 「私は馬鹿のようになってしまって、イの一番に銀座の「山野」でハンガリアン・ラプソディのディスクを買った。天金(銀座にある老舗の天ぷらや)で一番いい天麩羅をくださいといって、女中さんに笑われた」

 こんな具合だ。成金そのもの。国の両親に200円送る。感心、感心。

 「両親のアっという声が」東京まで響いてくるような気がした。生まれて初めて余裕しゃくしゃく。おめでとう。芙美子さん。余裕がでてくると、今度は芙美子の天性の旅心がうごめき始める。

 芙美子の場合、余裕ということは、そこまで行く交通費があるということを意味する。旅は今流の“貧乏旅行”。豪華な旅なんかするつもりもない。

 中国に行く、満州に行く、シベリアに行く。そこまで行くなら、シベリア鉄道でパリに行くというのは、順当な道筋だろう。

 では、パリの日々を少しご紹介する。

 シベリア経由の鉄道長旅ですっかりくたびれた芙美子は、パリ到着後は、1週間ほど立ち上がれなかった。そして、ホテルで横になりながら、啄木がでてくる。

 「いくたびか死なむとしては死なざりし、わが来しかたのをかしく悲し」

 この啄木の歌は、たぶん芙美子の心境にぴたりと寄り添うようなものだったに違いない。「をかしく悲し」こそが芙美子の心を言い当てている。

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