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北極の明けない夜を行く

  • 佐伯 裕史

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2007年1月9日(火)

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 北極は冬になると、一日中太陽が昇らない。2006年の冬、その真っ暗な北極で3人の男たちが、自分の肉体だけを頼りに冒険に挑んだ。



夜が明けることのない冬の北極に、冒険家が挑む。ヘッドランプと月明かりだけが頼りだ。
夜が明けることのない冬の北極に、冒険家が挑む。ヘッドランプと月明かりだけが頼りだ。

 ノルウェー人のボルケ・オウスラントと南アフリカ生まれのスイス人であるマイク・ホーンはチームを組み、シベリアから965キロメートルを歩いて北極点を目指す。そしてスイス人の冒険家トマス・ウルリッヒは、シベリアからカナダまで1931キロメートルを単独横断する計画を立てた。

 移動手段はいずれもスキーだ。テントにストーブ、寝袋、ゴムボート、照明弾、大型拳銃、衛星携帯電話、GPS(全地球測位システム)――、100キログラムを超す荷物をソリに載せて引っ張りながら進む。大型拳銃はホッキョクグマに襲われたときのためのものだ。途中で氷の裂け目に出くわすと、ゴムボートを膨らませ漕いで進むか、それもできなければ防水スーツを身にまとって泳いで渡るしかない。

 1月に出発したオウスラントとホーンは、初日の夜から危機に見舞われた。怪しげな音がしたかと思うと、テントが引き裂かれ、破れた穴からホッキョクグマの頭が見えたのだ。照明弾を発射してなんとか追い払い、奪われた食料も取り戻したが、前途が思いやられた。

 その心配は杞憂ではなかったようだ。出発当初は天候にも恵まれなかった。シベリアへ押し戻す風が吹き続け、ボートで2キロメートルほど進んでキャンプを設営しても、朝になると10キロメートル以上も押し戻される始末。1日を終えてテントの中で眠りにつけるだけでも、運がいいと思えるような日々が続いた。



激しい吹雪に遭遇すると、視界はわずか数センチしかなくなってしまう。それでも進んでいくしかない。
激しい吹雪に遭遇すると、視界はわずか数センチしかなくなってしまう。それでも進んでいくしかない。

 実際、ウルリッヒからみると、2人は運が良かったに違いない。3月に出発したウルリッヒは、スキーで進めるほど氷が厚くなかったため、出発地点の岬で足止めを食った。5日目にようやく、冒険を支援してくれている仲間から、衛星画像によれば岬の沖に10キロメートルにも及ぶ氷がある、との連絡が入り、彼は岬を旅立った。計画通りに冒険を成功させるには、その情報に賭けるしかなかったのだ。

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