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『ぼくは痴漢じゃない!』と言ってはいけない?!

男ならヒトゴトじゃない、冤罪被害者の手記

  • 和良 コウイチ

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2007年1月17日(水)

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 毎日、会社へ向かう通勤電車の中は、“冤罪”の住処。あなたもいつ「鈴木さん」になってもおかしくはない。

 著者は東証1部上場企業に勤める、妻子持ちのサラリーマン。ある日、通勤電車の中で痴漢と間違われ、その後の人生が一転した。裁判では一審で有罪、二審で逆転無罪を勝ち取るも、職を追われてガテン系職業を転々とし、現在はデザイン業の自営とアルバイトで生計を立てているという(おまけに、宗教にもはまってしまっている)。

 あらゆる痴漢冤罪事件に共通する流れは、こういうものだ。

「思いもかけずに『あなた触ったでしょ』『あなた痴漢でしょ』と言われ、『えっ、違いますよ』と当然反応する。そこへ駅員が駆けつける。『私は触ってませんよ』と一生懸命言う。すると駅員はこう言います。『ホームではなんですから事務所に来てください。そこで話を聞きましょう』。疑われた当人は、説明すればわかってくれるだろうと思って、先に立って事務室にいくわけです。そこへ今度は近所の警察官がやってくる。『まあ、話は警察で聞くから、一緒に来てください』と言う」

 警察は話を聞く場所ではなく、本人が罪を認め自白すべき場所。否認すればするほど拘留は長引くだけだ。

裁判で勝っても、職を失い、年金を失い…

 痴漢事件の難しさは、客観的な証拠がほとんどないところだ。裁判でも「やった」と言う女性の供述と「やっていない」と言う男性の供述のどちらを信用するかが争点となり、すでに結論は決まっている。実は鈴木さんは駅の事務室に向かった時点で、自らいうところの“有罪行きのベルトコンベア”に乗ってしまっていたのだ。

 もし真犯人なら、さっさと痴漢行為を認めて示談するだろう。しかし、鈴木さんは莫大なコストを払って裁判で闘い、わずか罰金5万円の痴漢行為を否認し続けたのである。

 日本では逮捕・起訴されれば、ほぼ100%に近い確率で有罪となる。無罪判決が出るのは非常にレアケース。鈴木さんは運よく裁判で勝ったが、安定した職や定年後にもらえるはずの年金を失った。もちろん、精神的なダメージや家族に与えた影響は測り知れない。

 コストだけを考えれば、鈴木さんは罰金5万円を払ったほうが割がよかった。裁判によって得た物と失った物との収支は、あまりにもバランスを欠いている。だが、無実の罪を認めて、それで本当にいいのか?

 「否認して争うひとは共通して、『私はやっていないんです。やっていないものを認めるわけにはいきません。名誉とプライドの問題です』といいます。そして、『裁判所で調べてもらえばわかります。だってやっていないんだから』という無邪気な裁判への信頼を語るまっとうで善良な市民が大多数です」と解説の弁護士先生。

罪を被ってしまうほうが得、そんな現実

 詰まるところ、裁判で争うか否かはその人の価値観の問題というしかない。この本を読んだ後の私なら、「さっさと罪を認めて示談して、罰金5万円を払おう」と思うのだが、現在は条例が改正され、痴漢行為は罰金が上限50万円、上限6カ月の懲役刑となった。うーん…。

 とにかく毎日電車で通勤するサラリーマンなら、鈴木さん曰く「人生を賭けた、ルールの分からないゲーム」に突如ほうり込まれてしまったときのことを、危機管理として考えておくべきだろう。その恐ろしいゲームが一度始まってしまえば、ベルトコンベアのごとく有罪という終着駅に運ばれ、今まで築いたもの全てを失ってしまう可能性があるからだ。

 でも、危機管理の具体的な方策としては、なにがありえるのか?

コメント42件コメント/レビュー

30代の女性です。10代の女子学生時代は小田急線での通学で痴漢の恐怖におびえる毎日でした。急行に乗れば必ず痴漢に遭うので、なるべく鈍行を選んで乗っていました。中学生は、痴漢をされても声を上げることさえできないのです。しかし、高校、大学と大人になるにつれて(つまり相手を睨んだり「やめてください」と言えるようになってからは)、痴漢に遭う被害はどんどん減りました。個人的な経験から判断するのは危険なことを承知の上であえて述べますが、痴漢の冤罪は成人女性の自意識過剰も一因ではないかと思っています。痴漢など全く遭わなくなった今でも、満員電車で何かの折に男性の手や鞄がお尻や胸に触れることはしばしばありますが、明らかに痴漢の動きとは異なります。どうしても気になるときは、次の駅で車両を変わるなり体の向きを変えれば済むことです。いい歳した大人が騒ぎ立てる気が知れません。とはいえ、電車のなかに憎むべき本物の痴漢がいるのはまぎれもない事実。本当に守るべきは「やめてください」と言えずにうち震えている、女子中学生、女子高校生たちです。痴漢はそう簡単には減らないでしょう。彼らは一種の病人であり、そういう人には法的な抑止力が効きません。一番の解決策は、女性車両のある列車を増やすことだと思います。住宅街で遭う変質者や通り魔に比べれば、電車の痴漢から身を守る事くらいは難しい事ではないのだけれど、それが出来ない少女たちの為に、逃げ場を作ってあげてほしいです。その結果、他の車両が多少混み合うことなっても、それを許容するのが社会の優しさではないでしょうか。(2007/02/01)

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いただいたコメント

30代の女性です。10代の女子学生時代は小田急線での通学で痴漢の恐怖におびえる毎日でした。急行に乗れば必ず痴漢に遭うので、なるべく鈍行を選んで乗っていました。中学生は、痴漢をされても声を上げることさえできないのです。しかし、高校、大学と大人になるにつれて(つまり相手を睨んだり「やめてください」と言えるようになってからは)、痴漢に遭う被害はどんどん減りました。個人的な経験から判断するのは危険なことを承知の上であえて述べますが、痴漢の冤罪は成人女性の自意識過剰も一因ではないかと思っています。痴漢など全く遭わなくなった今でも、満員電車で何かの折に男性の手や鞄がお尻や胸に触れることはしばしばありますが、明らかに痴漢の動きとは異なります。どうしても気になるときは、次の駅で車両を変わるなり体の向きを変えれば済むことです。いい歳した大人が騒ぎ立てる気が知れません。とはいえ、電車のなかに憎むべき本物の痴漢がいるのはまぎれもない事実。本当に守るべきは「やめてください」と言えずにうち震えている、女子中学生、女子高校生たちです。痴漢はそう簡単には減らないでしょう。彼らは一種の病人であり、そういう人には法的な抑止力が効きません。一番の解決策は、女性車両のある列車を増やすことだと思います。住宅街で遭う変質者や通り魔に比べれば、電車の痴漢から身を守る事くらいは難しい事ではないのだけれど、それが出来ない少女たちの為に、逃げ場を作ってあげてほしいです。その結果、他の車両が多少混み合うことなっても、それを許容するのが社会の優しさではないでしょうか。(2007/02/01)

その映画が公開されれば、冤罪を恐れてますます女性が声を上げにくくなりますね。「やってねーよ」と言われてしまえば反論できないのが被害に会った女性の立場です。このようにして泣き寝入りしている女性が多いから、警察や駅の職員の方に守って頂く必要があったわけです。冤罪、といっても、被害届を出すには最低2人がその人がやったと判断する必要がありますし。被害にあったことない方は分からないでしょうが、「痴漢です」「止めてください」と満員電車の中周りからじろじろ見られ、羞恥心の中声を上げるのは、本当に嫌なものです。私は出来ませんでした。大人の私でもそうですから、まだ何も知らない中高生なんてほとんどが泣き寝入りですよ。それでも勇気を出して声を上げた結果冤罪を疑われる、となったらますます女性が被害を訴えられない→痴漢が増える となりませんか…?痴漢をしても「やっていない」と突っぱねれば良いのなら、日本も痴漢天国になりますよね。(もう既にそうですが)それから、冤罪と「痴漢数は非相関である」は間違い。痴漢や冤罪の起きる背景や心理を無視した単純な意見ですね。例えばもし「自分が痴漢被害に遭った」と言いたい場合、痴漢の多い電車(時間帯、車両)と少ない方、どちらを選びますか?(2007/01/31)

痴漢冤罪FAQ Q「痴漢が多いことが痴漢冤罪の原因?」A.間違い。痴漢冤罪は痴漢が0であっても起こる。対象者はやっていないのだから痴漢数とは非相関である。Q「企画物のアダルトコンテンツが痴漢増加する原因?」A.間違い。疑似体験をしたのでしないかもしれない可能性はある。「アダルトものに条文付与する」等したとしても、結局はアダルトものが原因かどうかは、社会的要因も絡み合うため、分かりようがない以上、無駄に終わる。ちなみに、「本編の始まる前にスキップできないように「義務付け」を行い」は、DVDでは簡単できますので、業者は痛くも痒くもありません。(2007/01/29)

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