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「スカラ座ブーイング事件」が考えさせたこと

  • 林田 直樹

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2007年1月19日(金)

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 お客様は神様?
 いや、違う。お客も時に間違う。
 では、間違っている時に、どうそのことを伝えればいいのか。

 そんなことを考えさせられた“事件”が最近起こった。

怒って退場、代役はジーパン姿で急きょ登場

 世界の頂点に君臨するオペラハウスのひとつであるミラノ・スカラ座で、ヴェルディ作曲「アイーダ」の公演中に出演していたテノールのロベルト・アラーニャが、観客のブーイングに耐えかねて、こともあろうに演奏の途中で舞台を放棄し退場した。

 退場したアラーニャは、3大テノールと評されたルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスの後継者と目されている実力を兼ね備えた人気テノールだけに社会的な話題となり、このニュースはBBC、CNN、ニューヨーク・タイムズなど海外の主要メディアや日本でも一部の全国紙で取り上げられた。

 ブーイングによって歌手、指揮者、演出家などが満場の敵意にさらされる事態は、何もアラーニャが初めてではない。故マリア・カラスや既に引退してしまったがパヴァロッティなど伝説的な音楽家の多くが満場のブーイングの洗礼を浴びている。

 またスカラ座に限らずザルツブルク音楽祭やバイロイト音楽祭でも、上演の最中に不満を感じた観客が怒りだして猛烈なブーイングを浴びせ始め、演奏がストップして歌手が舞台で立ち往生してしまう風景は、たまに見かけられる。もちろん今回のように、演奏中なのに歌手が腹を立てて勝手に引っ込んでしまい、代役歌手がジーパンのまま慌てて舞台に出てきて歌ったというのは前代未聞だが。

 筆者は、この事件の真相を詳しくは知らないが、アラーニャ本人としては、音楽的にミスがあったとは思っていないことは確かなようだ。各紙の報道によれば、アラーニャは、自分に向けられた当日のブーイングは、敵意に満ちた「観客の暴挙」であると述べている。

 ただアラーニャはブーイングを受けた前の公演終了後に「スカラ座で公演するのは闘牛場に放り込まれるようなものだ」と述べていて、観客のブーイングはその返礼とも見られているようだ。

 アラーニャと観客。両者の行動の是非を問うのは難しい。言えることはスカラ座の天上桟敷は、世界で最も耳の肥えたオペラファンの陣取る場所として有名で、多くのスター歌手や指揮者がここでブーイングの洗礼を浴びせられてきた。もっとも、天上桟敷に陣取る彼らの趣味はもっぱらイタリア・オペラに限られる。

「血に飢えた聴衆」「聴衆は敵だ」

 スカラ座に陣取る観客に限らず容赦ない批判を浴びせる耳の肥えた世界中の観客たちに対して、アーティストたちも罵声を黙って受け入れていたワケではない。

 かつて、ピアニストのグレン・グールドは、コンサート活動を完全にドロップアウトしてレコーディングだけに専念すると宣言した際、コンサートの観客を「血に飢えた聴衆」と形容した。また、オペラ史上最も悪意あるゴシップのネタにされたマリア・カラスも、「聴衆は敵だ」と言った。いずれにしても、アーティストが観客とのコミュニケーションに関して深い断絶感を表明したケースである。

 妥協せず、厳しい批判を浴びせる観客。それに対して反論するアーティスト。どちらの行動もそれなりの理由があるはずだ。それを承知であえて、問いたい。「観客とは、常に正しい存在なのか」という問題である。

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