「データで読み解く、日本人のひみつ」

専業主婦願望は脱ぎ捨てました

熟年離婚と父親の復権

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2007年2月14日(水)

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 「女性専用車両」「レディースデイ」「女性限定サービス」「女性専用スパ」…。ここ数年、何だか居場所が徐々に減っているようで、一抹の寂しさを感じている男性は私だけでしょうか。

図1 男女平等が浸透?
図1 男女平等が浸透?
項目別に「男女はほぼ平等になっている」と答えた生活者の割合。出所:博報堂生活総合研究所「生活定点2006」。同調査は1986年から隔年で実施しており、今回(2006年)は首都圏と阪神圏の合計3293人に、日本人の様々な意識、価値観、ライフスタイルなどの変遷を調査している。以下のグラフのデータは同じ調査による

 1986年に男女雇用機会均等法が施行されてから20年以上がたちました。その当時と比べて、日本人が“男女平等”という言葉に持つイメージはどう変わっているのでしょう。博報堂生活総合研究所が昨年実施した「生活定点2006」調査では、「男女はほぼ平等」と答える生活者が上昇トレンドにあります。「教育全般」については2年前の前回調査よりも3.3ポイント上昇して86%、「法律や制度」では4.1ポイント増の54.8%になりました(図1)。

 つまり、「教育」や「法律や制度」などの社会インフラ上は、男女平等になりつつあると感じる生活者が、半数を超えたということになります。ただし、「社会全般」で「男女はほぼ平等」と答えた生活者は36.8%。2年前に比べて2.2ポイント増えたものの、まだ半数には達していません(図1)。家庭や恋愛関係、職場の雰囲気といった社会意識の部分では、まだ男女平等にはなりきってはいない、ということでしょうか。これは、読者の皆さんが日頃感じているイメージに近いのかもしれません。

 ちなみに一昨年、テレビ朝日のドラマ「熟年離婚」が高い視聴率で話題を呼びました。実際、日本の熟年離婚数(20年以上同居後の離婚数)は、1985年には2万435組でしたが、2005年には4万395組とほぼ倍増しています。世のお父さん、孤独で寂しい老後を送らないためにも、家庭内で男女平等意識を持ちましょうね。このまま「男女平等意識」のデータが上昇カーブを描いていき、今の若者が熟年世代になる頃には熟年離婚が減っていると期待したいところです。

男らしさ、女らしさを再び求め始めた生活者

 今回の調査結果で興味深いのは、男女平等意識が徐々に浸透しているという大きな流れの一方で、男女ともに「男らしさ」「女らしさ」を大切にしようと考えるゆり戻しの動きが出ていることです。

 ここ20年くらいの間、日本では父権の崩壊が叫ばれてきました。確かに家族アニメの歴史を見ると、それが象徴的に表れています。1969年に放送が始まった「サザエさん」では、嫁の実家に居候の身であるマスオさんは肩身の狭い思いをしていますが、波平さんには父権が残っていました。しかし、90年放送開始の「ちびまる子ちゃん」では、まるこちゃんの父親、ヒロシさんは軽いノリのお酒好きで、頼りなく軟弱なキャラクター。あまり父権は感じられなくなりました。92年に放送が始まった「クレヨンしんちゃん」になると、しんちゃんの父親、ひろしさんは奥さんの尻に敷かれています。家のローンに苦しみ、しんちゃんにお小遣いの話をされると落ち込んでしまう姿には父権がほとんど残っていません。

図2 父親への尊敬、再び
図2 父親への尊敬、再び

 「生活定点」調査のデータでも「母親より父親を尊敬する」という人の数は、1998年から毎年減少していました(図2)。父親よりも、身近で優しい母親を尊敬するという流れが、日本家庭の主流になっていたのです。1990年代、不景気の影響で仕事不安が高まり、中にはリストラされた人もいて、世のお父さんは自信を失いました。だから、家庭でも威厳を発揮できない。そうした状況が、父親の側にあったのかもしれません。

 しかし、今回の調査では、父権が崩れていく傾向に歯止めがかかりました。景気の回復と同期するかのように「父親を尊敬する」という生活者(49.4%)と、「母親を尊敬する」という生活者(49.7%)の割合が、ほぼ同じになったのです。どうやら景気の回復は、お父さんの自信回復にもつながっていそうですね。

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著者プロフィール

原田 曜平(はらだ・ようへい)

原田 曜平

慶應義塾大学商学部卒。博報堂ストラテジック・プランニング局、博報堂生活総合研究所を経て、2007年より研究開発局・研究員となる。2003年JAAA(日本広告業協会)広告賞・新人部門受賞。専門は日本と中国の若者や、富裕層の研究など。共著に『モノの意味事典−monom−』(博報堂)、『10代のぜんぶ』(ポプラ社)、日本の富裕層を分析した『黒リッチってなんですか?』(集英社)、『ニューリッチの成功法則―目指せプチ富豪!年収2000万円突破で世界が変わる!』(東洋経済新報社)がある。2006年11月〜07年8月まで「データで読み解く、日本人のひみつ」を好評連載。



このコラムについて

データで読み解く、日本人のひみつ

今、生活者は何を考え、何を求めているのか。“時代の気分”を探ることは、ビジネスチャンスをつかむために欠かせない要素の1つです。このコラムでは、生活者を観察する新進気鋭の若手研究者が、生活者調査のデータやインタビューなどから読み解いた、マーケティングに効くちょっといい話をお届けします。

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