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自分を生きた女たち~与謝野晶子(3)

1000枚の原稿を焼失し、それでも書いた「新新訳源氏物語」

  • 松島 駿二郎

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2007年2月23日(金)

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akiko13
晶子と鉄幹。1930年ごろ(写真提供/文化学院)

略奪婚の末に11人もの子供を育て、夫の奔放な恋愛に苦しみ、1000枚もの原稿を火事で失ってもめげない――。そんな膨大なエネルギーを持った女性が与謝野晶子という人である。晶子の名は明治の詩歌に革新をもたらした歌人として揺ぎ無いものがあるが、彼女はひっそりと机の前に座って歌を詠んでいただけではなかった。

与謝野晶子が『みだれ髪』を発表したとき、狂気のように感激した男は北原白秋だった。晶子の歌は多くの青年たちを惑わせた。白秋の『上京当時の回想』から、
「晶子さんの『みだれ髪』が出た時は狂気のやうに感激したものだった」。

 晶子は大勢の青年たちを、新派と呼ばれる歌の世界に誘い込んだ。新派とはもちろん旧派に対してのことで、旧派とはそれまでの和歌、新派とは「明星」によった歌人たちの歌のことだ。

 絶頂期の晶子の歌を、2首ほど、

 清水へ祇園をよぎる櫻月夜こよひ逢ふひとみなうつくしき

  なにとなく君に待たるるここちしてえし花野の夕月夜かな
  
 これが新派の歌の精髄。歌全体に畳みかける緊迫感が漲っている。新派の骨頂。
思い出してほしいのだが、晶子は11人の子どもを産んだ。全部自分で育て上げている。育児の合間をぬって、晶子は様々な評論を書き、論争をした。晶子が論壇に登場したときの主舞台は雑誌『太陽』だった。婦人問題を中心として論陣を張った。

 有名な論争は、平塚らいてふ氏との間のいわゆる「母性保護論争」だ。晶子の「母性偏重を排す」ではトルストイの男は男、女は女にそれぞれ決められた「本務」がある、という文を取り上げて、このような考え方が、女性の自由な行動や思考を妨げている、と批判する。

 トルストイによると、女性の本務が、子孫を増やすことに偏し過ぎているではないか。しかし、女性は女性である前に人間ではないか。そして人間の本務は幸せの追求にある。男性と同じだ。見よ、トルストイでさえ蹴飛ばしてしまう、晶子の強靱さを!

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