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「鈍感」とは極めて前向きな生き方である

『鈍感力』の著者、渡辺淳一氏に聞く

  • 鶴岡 弘之

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2007年3月8日(木)

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「あいつは鈍感だ」と言われれば、誰でも傷つき、腹が立つ。
だが「鈍感」であることこそが現代を生き抜くカギであり、
幸せを呼び込めると唱える人がいる。
『失楽園』や『愛の流刑地』でお馴染みの作家、渡辺淳一氏だ。
渡辺氏が、鈍感であることの素晴らしさを語る。

(聞き手は日経ビジネスオンライン 鶴岡 弘之)


── そもそも鈍感力とは。鈍感だと、どんなメリットがあるのでしょうか。

『鈍感力』

『鈍感力』
渡辺 淳一著、集英社、1100円(税別) ISBN978-4-08-781372-2

渡辺 「鈍感」というと、一般的にマイナスのイメージがあるでしょう。周りの状況が読めないとか、人の言うことにすぐ対応できないとか。だから鈍感であってはいけない、敏感な方がいい、とされている。でも、鈍感なのは素晴らしいことなんですよ。傷ついてもすぐに立ち直れるし、いろいろなことを言われてもすぐに忘れられる。私が言う「鈍感力」とは、どんな時もくよくよしないで、へこたれずに、物事を前向きに捉えていく力のことです。

 皆さんは仕事をする時に、できるだけ立派にしよう、ミスなく完璧にやろうと考えますよね。でも、あえて「もっと鈍感になりなさい」と言いたいのです。どんな仕事でも完全無欠にやろうとするからストレスが増えるんです。1人で抱えてないで、分からなかったら、どんどん人に聞けばいい。鈍感力を持っていればそれができるし、叱られてもへこたれない。気分の切り替えがすぐできるんですね。

 体だってそうです。鈍感な方がいいんです。何でも食べられるし、悪いものを食べたって、簡単におなかを壊さない。体が敏感すぎると、過敏症という病的な状態になってしまいます。花粉症なぞいい例ですよ。鈍感であればアレルギー反応も起こしません。鈍感なのは、心にとっても体にとっても素晴らしいことなのです。

── いつ頃から鈍感力の大切さに気づかれたのですか。

渡辺 大学病院で医師をしていた20~30代の頃ですね。当直で病院に寝泊まりするのですが、急患が担ぎこまれたら、すぐに飛び起きなければいけません。外科なので、大怪我をした人もよく担ぎ込まれてきます。夜中の2時、3時でもぱっと起きて適切な処置をしないと、患者が出血多量で死んでしまうかもしれない。

 そんな時、ぐうぐう寝てる奴ほど、ぱっと起きられるんです。だから外科医は寝つきがよくて、寝起きがいいことが条件ですね。神経が細かくていつもヒリヒリしているような医師は、ぱっと起きられないし、起きてもてきぱきと処置できない。

図版

『鈍感力』を著した渡辺淳一氏
(写真:陶山勉)

 手術の時もそうです。新人の医師はとろくて上司や先輩に怒鳴られます。でも、その場で落ち込んでいたら手術の最中にどんどん置いていかれてしまい、それこそ致命的なミスにつながります。怒鳴られてもすぐに謝り、スタッフについていく。そして次の日にはけろりと忘れてしまうくらいの鈍感さがないとやっていけません。

 作家になってからも、鈍感力の大切さを痛感しました。この世界も、生き残りを懸けたサバイバルゲーム。だから、たくましさが必要です。もちろん才能は欠かせないけど、それを持続し、大きくしていくためにはいい意味で自己中心的な鈍感力は欠かせない。作品に個性がないと生き残っていけませんから。

 特に新人の頃は編集者から原稿を返されたり、手厳しい批評を受けることがよくあります。そんな時にいちいち落ち込んでいたら、小説は書けません。自分の原稿が採用されないのは相手に読む力がないからだ、と思うぐらいでないと、やっていけない。傷つきやすい人から、消えていったような気がします。

── 鈍感力は仕事の中でどう役立ちますか。

渡辺 まず、叱られたり、失敗してもくじけなくなることですね。さらに、嫉妬や中傷に対しても強くなります。会社の中で、他人の成功をねたんだり、足を引っ張ろうとする人はいっぱいいるでしょう。敏感な人は、他人からねたまれたり、ちょっと攻撃されたりするとすぐに落ち込んでしまう。でも鈍感力があれば、そんなの気にせず平気でいられる。そもそも嫉妬なんて、する人の方がつらいんです。「こんなに自分のことを嫉妬してかわいそうに。つらいんだろうな」と思うぐらいでないと。

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