「「ナショナル ジオグラフィック日本版」編集長の「地球からの報告」」

滅びゆくゾウの王国

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2007年3月6日(火)

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 アフリカ中部に位置する人口約1000万人のチャド共和国。この国に1963年に設けられたザクーマ国立公園は、野生生物の楽園だ。東京都の1.5倍ほどの広さを誇る公園には、キリンやスイギュウ、カモシカ、ダチョウなどが今も多数暮らしている。



チャドのザクーマ国立公園内にある水場に集まったゾウ。この水場は乾期でもかれることがないため、多くの野生動物がここで渇きをいやす
チャドのザクーマ国立公園内にある水場に集まったゾウ。この水場は乾期でもかれることがないため、多くの野生動物がここで渇きをいやす

 なかでもここは、ゾウの大規模な生息地として知られていて、乾期になると3500頭ほどがこの公園に集まってくる。ここには、決してかれることのない水場があるからだ。

 1970年代、アフリカ中部には30万頭ほどのゾウが生息していた。しかし今日では、わずか1万頭にまで急減している。それだけに、ザクーマは今も残る貴重なゾウの王国で、時には1000頭を超す群れが移動する姿を見ることができる。

 ゾウの生息数が激減した最大の原因は、象牙目当ての密猟だ。密猟者たちは今も、このゾウの王国を脅かしている。

 ザクーマ国立公園内は、武装したレンジャーたち88人が取り締まっているが、密猟がやむことはない。米ナショナル ジオグラフィック協会の探検家J・マイケル・フェイをリーダーとする調査隊が2006年5月から10月にかけて調べたところ、27頭のゾウが密猟者に殺されていたことが分かった。



ザクーマはアフリカ中部で最大のキリンの生息地でもある。乾期になると、800頭ほどがここで暮らす
ザクーマはアフリカ中部で最大のキリンの生息地でもある。乾期になると、800頭ほどがここで暮らす

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ナショナル ジオグラフィック

ナショナル ジオグラフィック日本版 2007年3月号


佐伯 裕史(さいき・ひろし)

『ナショナル ジオグラフィック日本版』編集長。1983年に日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社。1995年『ナショナル ジオグラフィック日本版』創刊に伴い、副編集長に就任。その後、パソコン誌や食品流通誌の編集長を歴任し、2005年から現職。『ナショナル ジオグラフィック』は米国ワシントンD.C.に本部を置く1888年設立のナショナル ジオグラフィック協会が発行し、世界約180カ国で850万人が購読する月刊誌。自然・野生動物・社会・文化・探検・科学など、地球とそこに生きるすべての生き物の営みを、世界の一流写真家が撮りおろす美しく迫力に富んだオリジナル写真と、正確で臨場感あふれる記事で紹介している。このコラムは『ナショナル ジオグラフィック日本版』の最新号の特集から、その内容を要約して紹介する。

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