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昔の教科書 今の教科書

『坪内逍遙の國語讀本』原文、振り仮名、現代語訳 阿部正恒 basilico刊 1500円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2007年3月9日(金)

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『坪内逍遙の國語讀本』

 この明治時代の國語教科書を、新潟の古い本家の崩れ落ちそうな薬剤調合棚の本棚から見つけ出し、現代語訳に携わった阿部正恒の手柄を称揚したい。

 坪内逍遙といえば明治の文豪。シェークスピア全訳、『小説神髄』などで仄聞するしかないような、遠い存在だ。そんな人が國語教科書を書いていたとは。

 この教科書、一読して話題の広範なのに驚かされる。
 「短編一束」という項目がある。いくつかの、ショートショートをまとめた感じ。その中に「ニュートンの放心」と題した1編。

 ニュートンは研究に専念すると、食事を忘れることがあった。助手が卵を茹でるように指示して、しばらくして研究室に戻ると、ニュートンは卵ではなく、うっかり懐中時計を茹でていた、という失敗談。天才の研究にかける集中力。

 続いて普仏戦争に活躍した伝書鳩の話。
 イギリス軍がインドで発明したダムダム弾の話。
 と続く。

 梅の木と鶯の話もよい。
 村上天皇の御代。天皇が紅梅を求めたので、臣下に枝振り良い紅梅を探してこいと言った。臣下のものは、いい紅梅を見つけ、天皇の命令だと言って、むりやり、その梅を引き抜いてこさせた。その梅の木のある屋敷に住む幼女が、色紙に何事か書き付けて、梅の枝に付けた。

 天皇はその色紙を開く。そこには歌がひとつしたためられていた。

 勅なれば、 いともかしこし 鶯の、
 宿は、と問はば、 いかに答えん

 この幼女は紀貫之の娘だった。天皇は心なき業をしたと、すぐに、梅をもとに戻させた。宮中の優雅、歌の雅(みやび)が溢れる逸話。

 明治の小学生や中学生は、こんな内容深い教科書を読んでいた。技術が進み、生活は豊かで便利になった現在、なぜ、これほどの精神の貧困、学力の低下が生じたかが、疑問である、と阿部正恒は悲憤慷慨する。

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