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日本サッカーの「三位一体モデル」からの脱却

サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」を率いる山田泰氏に聞く

2007年4月2日(月)

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山田氏: 今日、もうひとつ山城さんと話したかったのがこの図なんです(下図)。

日本のサッカー界の構造、「三位一体モデル」

 前回、コアなファンを維持する方法はできているのに、新しいファンを獲得する方法論がない、という話があったと思うんです。それはなぜかと言いますと、日本のサッカー界の構造がこうなっていたからなんですね。「三位一体モデル」とでも言えばいいのか、プロサッカーリーグがなかった時代からの慣習がまだ残っているように感じます。

山城: 利害関係者が、「チームと選手」「関係者と友人知人」「通信社と専門誌」しかいない時代ですね。そのうえ、この図のように重なり合っている。アマチュアスポーツならどこにでもある形です。

内輪で盛り上がる構図

 当時はちょっと大きな試合をやると新聞社が来る。観客は誰かと言うと、友人、知人、報道、内輪。この感覚が残っているのかも知れまん。本来であれば、クラブとプレーヤー、メディア、ファンやサポーターというのは、固有の役割があると思うんです。それぞれが距離を置いて、役割を担うべきだと思います。本来はこの図(下図)のようにそれぞれが独立して、影響を与え合っていくことで市場が拡大する方向に進むはずです。

本来あるべきサッカー界の構造

 逆に、「三位一体モデル」のままで長い期間推移してゆくと、市場が縮小均衡になっていくでしょう。今はまだ、この三者が繋がった状態で、当事者同士だけが心地よい状況が続いている。

―― うーん、これはサッカーやスポーツに限らず、狭い層を顧客にした、メーカーとメディアとユーザーという構図においてもたぶん同じだと思うんですよ。いろいろな産業、特にBtoBの市場ってまさにこれじゃないですか。

 そうですね。

―― またしても日本のDNAの話になってしまうのですが、日本的産業構造というのがこの三位一体型の形であって、それがたまたまサッカーも同じようにそうであったということではないでしょうか。

 でも、プロ野球は比較的三者が距離をおいた構造で成り立っているように見えます。最近は古い業界のように言われてますけど、例えばスポーツ新聞の紙面に対して球団は「うちの球団がどれだけスペースを取れるか」という競争意識が強かったりしますよ。プレイヤーでもそういう自覚を持っている人が多いのではないでしょうか。松井選手の取材対応など、プロとしてそのあたりを考えているように思います。

―― サッカー選手の中で、そういう自分の言葉でしゃべれて表現できる人間がどれだけいるかということ自体が、もう圧倒的に差がありますよね。サッカー選手の方が今風で、個人として自立していてみたいなイメージがあるけど、決してそうではない。

 野球選手の方がメディアとの関係を強く認識していると思います。あえて教育しているところもあるでしょうけど、プロ野球の方が「当事者」の外にいるファンをどう惹きつけるかを、当事者それぞれが意識しているような気がします。

―― サッカーは自分たちが新しいと思っている割には、いまだに内輪意識の三位一体型で。

 感覚としてはそうですよね。

ひとつのJクラブに特化して食べていこう、という発想

―― 三位一体モデルから脱出するために、メディアやクラブ、リーグができることってまだたくさんあると思うんですけど、一番大きなことを挙げるとすれば何だと思われますか。今、この市場が変わってパラダイムシフトしていく中、それに対応していくために、僕たちも含めてまず手をつけなければいけないことって何なんでしょうか。

 難しい質問ですね。最近、「ひとつのJクラブに特化して食っていこう」としている人が多くなっています。ライターさんだったり、編集者だったり、会社自体、そのひとつのクラブを取り巻く「人間関係」に寄り添っていくことで個人や企業としても、収入を確保して行く方向性になってきています。それは経済行為としては当たり前のことですし、ひとつのクラブの取材に特化すること自体は良いのですが、広くサッカーファン全体を消費者としてとらえた場合に、どのような付加価値を提供できるかを追求しなきゃいけないと思うんです。

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