「生きる〜ニッポンの風に吹かれて」

生きる〜ニッポンの風に吹かれて

2007年3月28日(水)

私の推薦する外国語習得法【Part1・発音】

「言葉は一種の音楽」

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 旅行中の楽しみの1つに、周りの人の会話に聞き耳を立てることがあります。とは言っても、会話の中身を盗み聞きするような悪趣味ではありません。その言葉が英語でない場合は、何語かなと考え、英語の場合は、アクセントなどからその人の母国語を当ててみようとします。

 独り遊びのような頭の中でのゲームなんです。時々、自分からその人に話しかけて、正解かどうかを確かめられる時もありますが、たいていの場合はそこまで確認できません。けれども、自分の予想が大当たりだった時は、心の中ではかなり喜びます。

 私がいろいろな言葉を聞くとき、自分の耳はまるで音楽を聴いているように感じます。音とリズムが1つの音楽、ミュージックとなって耳に入ってくるのです。違う言葉は違うミュージックとして耳に入ってきます。

 外国語を習い始めたとき、誰もが最初にぶつかる壁は、新しい音の発音と聞き取りだと思います。最近の研究で、この問題にどのように取り組むべきかのヒントが明らかになりました。

 外部から入ってくる音を最初に処理するのは、耳に近い脳のある場所だそうです。病院などでも使われているfMRIの技術を応用して、言葉の音を聞き取る時に、脳のどの部分が働いているかを画像として見る実験が行われました。

 英語の聞き取りがよく出来る日本人(実験対象A)、英語の聞き取りがそれほど出来ない日本人(実験対象B)に録音された日本語と英語を聞かせて比較しました。日本語を聞かせた時は、2人とも脳のほぼ同じ場所で音を処理していることが画像によって分かりました。

 次に英語を聞かせたところ、Aは、日本語を処理していた場所と違う場所で英語の音を処理しており、Bは、日本語と同じ場所で英語の音も処理しようとしていたことが分かりました。

 この実験結果から推測できるのは、新しい外国語を習得するためには、そのつど別の音の処理センターを脳に作らなければならないということです。Bは、日本語の処理センターで、無理やり英語の音を処理させようとしたわけです。まるで、ゴルフをするのに野球のバットを持って行ったようなものです。

 バイリンガルといわれる子供たちは、とても恵まれています。たとえば、日本語を話す日本人のお母さんと英語を話すお父さんなら、生まれたときから子供は、両親の話を何時間も何時間も聞いて、脳の中には自然に2つの音の処理センターが作られていきます。

 中学生や高校生、大人になってから、いきなり別の処理センターを作ろうとしても、そう簡単にいくはずがありません。それらの言葉が自然に話されている環境外で、外国語の音を身に付けなければならないのです。新たな音の処理センターを作るために、人工的に環境を作ることが必要となります。

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著者プロフィール

ブルース・ホルコム
(Bruce Holcombe)

ブルース・ホルコム

初来日は大学卒業直後の1973年。再来日した1978年、言語学研究で東京外語大と国立国語研究所に籍を置く。1980年豪州政府に派遣され、オーストラリア人同時通訳の第1号となる。1985年に日本で会社設立(旧レクシス現在ホルコムアソシエイツ)。数カ国語を駆使し、多分野において、通訳だけでなくコンサルティング、講演、執筆など幅広い活躍をみせる。ワイン、競馬、音楽、野菜作りなど玄人顔負けの趣味でも知られる。

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