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魚が消えた海

  • 佐伯 裕史

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2007年4月2日(月)

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 今、世界の海から魚が消えつつある。その原因は漁業だ。新しい漁法の登場で、漁獲能力は飛躍的に増大し、先進国では健康食ブームにのり、発展途上国では手軽なたんぱく源として魚の消費量が急速に増えている。世界で年間1億トンもの魚が捕獲されているという。マグロやサメなど外洋の大型魚類は、かつての80~90パーセント減少したという調査結果もあるほどだ。



メキシコのカリフォルニア湾で刺し網にかかって死んだオナガザメ。年間4000万匹ものサメが、フカヒレ目当てに捕獲されている。(写真:BRIAN SKERRY)
メキシコのカリフォルニア湾で刺し網にかかって死んだオナガザメ。年間4000万匹ものサメが、フカヒレ目当てに捕獲されている。(写真:BRIAN SKERRY)

 特に問題視されているのが、マグロだ。インド洋のミナミマグロ(インドマグロ)、大西洋や地中海のクロマグロ(ホンマグロ)などが危機的な状況にあると言われており、最大の消費国である日本に対する風当たりは強くなるばかりだ。

 地中海では、飛行機まで使った大規模なマグロ漁が行われている。春から夏にかけて、水温が上昇するとクロマグロの群れは産卵のため、海面近くに集まってくる。メスが水面に銀色の腹を見せながらのたうちまわり、無数の卵を産み落とすと、オスが精子をかけていく。波のない日でも海面は激しく波打ち、放出された卵と精子で海の色が変わってしまうほどだ。その生殖行動を飛行機から見つけ、漁船に連絡して一網打尽にする。

 捕まえたマグロは、いけすに移し、イワシなどの脂ののったエサをたっぷり食べさせ、丸々太らせてから日本などへ出荷する。「蓄養」と呼ばれる養殖法だ。1990年代半ばにオーストラリアから地中海各国にもたらされた養殖法で、現在、鮮魚店やスーパーマーケットで販売されている「養殖マグロ」は、ほぼ100%この蓄用で育てられている。

 蓄養ではマグロを安定供給することができ、大きな利益が得られるため、地中海沿岸諸国の水産業者が多数、蓄養に乗り出してきた。その多くは日本の総合商社や水産会社と手を組んでいるという。

 蓄養は一見、水産資源の減少を解決する有力な手段に思えるが、実は大きな問題を抱えている。若いマグロを捕らえ、繁殖年齢に達する前に出荷するため、何千万個もの卵を産むはずの成熟したメスの数が減っているのだ。



アフリカ・セネガルの漁船。漁師の目当ては欧州へ高値で輸出できるエビやヒラメで、これらの魚は網にかかっても捨ててしまう。地元の人々にとっては貴重なたんぱく源なのだが。(写真:BRIAN SKERRY)
アフリカ・セネガルの漁船。漁師の目当ては欧州へ高値で輸出できるエビやヒラメで、これらの魚は網にかかっても捨ててしまう。地元の人々にとっては貴重なたんぱく源なのだが。(写真:BRIAN SKERRY)

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