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裏金問題から立ち直るために

  • 団 野村

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2007年4月6日(金)

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 3月9日に西武ライオンズによるアマチュア2選手への利益供与問題が発覚してから、約1カ月が経過しました。2005年にアマチュア選手への利益供与で3球団の当時のオーナーが引責辞任をし、倫理行動宣言を採択してからわずか2年後の出来事です。

 今回はたまたま明るみに出たこの裏金問題ですが、これがこの2年間で唯一の不正行為だとは到底考えられません。実際、西武球団は4月5日、最初に明るみに出たアマチュア2選手以外に5選手にも裏金を渡していたなどとする中間報告をしました。過去の球団の利益供与を阻止する直接的な制度作りが急務であると同時に、「自浄能力」を期待することができない日本球界の抜本的な改革が迫られているのではないでしょうか。

 今回の西武の事件を受け、既にご存じの方も多いように、プロ野球12球団の代表者らによる実行委員会は、紆余曲折を経て、現行ドラフト制度における「希望枠」を今年秋のドラフトから廃止することを正式に決めました。

 一部大学、社会人出身の選手が自ら球団を選ぶ権利を持つこの制度は、不正を助長するシステムだったと言わざるを得ません。選手が球団を選択する際、球団の所在地や近年の成績など様々な要因が選手の意思決定を左右します。しかし、本来ならば不正な行為である金銭の授受が行われ、選手の意思決定に多大なる影響を与えてきたという事実は否めません。

不正を堂々と行えるシステムだった

 はっきり言ってしまえば、かつての「ウエーバー+くじ引き」のドラフトの頃から、江川問題や元木問題など、ドラフトにまつわる不正を思わせる事件はありました。つまり、希望枠の導入は、こうした不正を堂々と行えるようにするためのものだったのです。

 こうした状況の打開策として、注目されているのが「完全ウエーバー方式」のドラフトの導入です。チームが新人選手の獲得において巨額な支出を強いられることがなくなり、資金力の有無にかかわらずより公平な新人選手の獲得が行われます。結果、チーム間の戦力格差の是正にも繋がり、「不正防止」と「戦力均衡」の両観点から、この単純明快な完全ウエーバー方式のドラフト制度が最も有効なのです。

 そもそもプロ野球の歴史を見れば、大昔はドラフトなどなく、しかしそれでは戦力に偏りが出るから、ということで、ドラフト制度が導入されたわけです。つまりドラフト制度の第一義とは、「戦力均衡」なのであって、この第一義が達成できないドラフト制度は、「骨抜き」の制度と言えます。そのうえ、不正の温床になるような制度にしているわけですから、全く矛盾だらけの、本来採用してはならない制度になってしまっているわけです。

「職業選択の自由」は大義名分

 ところが、日本野球機構は、あえて複雑で不明瞭なドラフト制度を採用してきました。「職業選択の自由」を大義名分にして採用された「希望枠」ですが、結果的には球団やその他の関係者のエゴが先に立ち、多くの子供たちを金銭授受に巻き込んできました。これ以上犠牲者を増やさないためにも、ドラフト制度の改革は急務なのです。

 当然、ドラフト制度改革のみによって、今回のような問題が根本的に解決されるわけではありません。フリーエージェントや調停など、ドラフト制度の変更と呼応して改正されるべき点が多々あります。その中でも、あまり話題にはありませんが、野球協約違反を犯した際の罰則も議論されなければなりません。

 今回の利益供与問題に限らず、野球協約に違反した際の罰則はたいへん不明瞭なものになっています。日本プロフェッショナル野球協約第9条第3項には、違反があった場合「コミッショナーが事実の認定をして裁決し、制裁を科する」とあり、今回の処分もコミッショナーに一任されているも同然です。

 今回のケースで言えば、利益供与に携わった西武球団の関係者すべてに、重い処分が科せられるべきです。そして、球団本体にも、数億円規模の罰金が科せられても不思議ではありません。当然、西武球団は次回のドラフト会議へは参加すべきではありません。また、金銭を受け取った選手やその選手の所属チームの指導者なども、無関係だったとは到底言えません。

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