• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

本場の展示よりもきれいに見える『受胎告知』 

東京国立博物館事業企画課長 井上洋一氏

  • 木谷 節子

バックナンバー

2007年4月12日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

----------

■ダ・ヴィンチ展の招待券プレゼント
NBオンラインの読者の皆様のうち10組20名様に特別展「レオナルド・ダ・ヴィン チ――天才の実像」の招待券を差し上げます。ご応募はこちらから。 ----------

レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』(1472-73年 フィレンツェ、ウフィツィ美術館)を中心に、画家の万能ぶりを検証する特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像」。3月20日より一般公開が始まったこの展覧会は、連日1万人前後もの来館者を集める話題の美術展となっている。東京国立博物館事業企画課長の井上洋一氏に、この展覧会やその見どころについてうかがった。


『受胎告知』の展示会場として、イタリアに選ばれた東京国立博物館

 もともと「レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像」は、昨年、フィレンツェのウフィッツィ美術館で開催された「The Mind of Leonardo」という展覧会を、日本向けに再構成したものです。現在、日本各地でイタリアの文化芸術を紹介する「PRIMAVERA ITALIANA イタリアの春・2007」が展開されているのですが、その中核事業として、「The Mind of Leonardo」を、東京国立博物館で開催できないだろうか、というマリオ・ボーヴァ駐日イタリア大使のご提案で、当館での開催が決まりました。

 レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519)の『受胎告知』を展示する会場として、イタリア側が当館を選んでくれた理由は、おそらく、33年前に、やはりレオナルドの『モナ・リザ』(1503-06年 ルーヴル美術館)を展示した実績があること、また日本で一番歴史が古い博物館であり、自国の文化芸術の保存と展示をしっかりと行っているアイデンティティーを持った博物館である、というところを評価していただけたのではないかな、と思っています。

レオナルド・ダ・ヴィンチ『受胎告知』(1472-73年) ウフィツィ美術館蔵

「天才」の出発点に位置づけられる作品『受胎告知』

 さて、今展覧会は、レオナルド・ダ・ヴィンチが若き日に描いた『受胎告知』を出発点として、彼のマルチな才能がいかに花開いていったか、ということを検証するものですが、その目玉は何と言っても、特別5室で公開されているレオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』ということができます。

東京国立博物館事業企画課長 井上洋一氏

東京国立博物館事業企画課長 井上洋一氏

 大天使ガブリエルが処女マリアにイエスの懐妊を告げる場面を描いた『受胎告知』は、後に「イタリア・ルネサンスの巨匠」と言われる彼が、20歳そこそこで描いた作品です。まず、中央の山の中腹を消失点とする「1点透視法」や、遠くになるにつれて風景が青みがかっていく「空気遠近法」など、当時の最先端の科学技術であった遠近法を巧みに使った絵画であることは、既にご存じの方も多いでしょう。(ダ・ヴィンチ展の公式サイト

 また、大天使ガブリエルの足元に咲く草花の描写や、人物の洋服の質感、その下の肉体の量感など、様々なところに、レオナルドの鋭い観察眼が見て取れる作品です。特に天使の翼は、「本当に飛べるんじゃないか」と思ってしまうほど克明に描かれています。後にレオナルドは、空を飛ぶことに大変な興味を示し、航空力学のようなことまで研究するのですが、この大天使ガブリエルの翼の表現は、「飛行」ということに対するレオナルドの関心の原点と言ってもいいような気がします。

 実はこの作品は、正面から見ると、ちょっとバランスの悪い絵なんです。マリアの右腕は不自然に長いし、身を乗り出すように未来の聖母に対面する大天使ガブリエルの姿もまたやや不自然です。しかし、向かって右、それもやや下から絵を見上げると、絵に整合性が出てくるんですね。この作品は出来上がった時、いろんな人に「不均衡だ」とけなされたらしいのですが、おそらくレオナルドは出来上がった『受胎告知』がどんなポイントから鑑賞されるのか、といったことまで計算して、この絵を描いたと考えられます。

職業画家としては失格だった?―レオナルド・ダ・ヴィンチ

 この『受胎告知』は『最後の晩餐』(1495-98年 ミラノ、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院食堂)と並んで、レオナルドが完成させた、数少ない完全作品の1つです。しかし、だからといって彼が、職人として『受胎告知』を期日通りに完成させ、絵を納めたのか、というと、そこは微妙ですね。というより、私は彼が納期を守るような人間だったとは、とても思えません(笑)。事実、レオナルドは、他の作品で納期を守らずに違約金を払ったこともありますし、『マギの礼拝』(1481-82年 フィレンツェ、ウフィツィ美術館)を描いた時などは、あまりの仕上がりの遅さに、途中でクライアントが別の画家に描かせたこともありました。

コメント0

「学芸員に聞く見どころ」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人は何か自信を持って誇れるものを持っているはずです。

為末 大 元プロ陸上選手