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ラオスで虫捕り

2007年4月4日~4月10日 標本整理編 in 箱根

2007年4月25日(水)

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 毎日ムシの整理で一週間経った。今日やっと終わった。腰が痛くなって、肩が凝った。なぜそんなことになったかというと、虫を採りすぎたからである。

採りすぎたラオスの虫たち

採りすぎたラオスの虫たち

 三月の二十四日から三十一日までの一週間、ラオスで虫捕り。

 毎日七時に朝食、食べ終わったら車で移動、途中は虫捕り。夕食に町に戻る。そういう日程だった。日中の気温は乾期だから暑く、三十五度とか、そういう状態。いいたかないけど、私は今年七十歳になるという年寄り。よくもつよ、と我ながら思う。同行した池田清彦に、知ってるうちでいちばん元気な七十歳といわれた。

採集する養老先生

採集する養老先生

 虫を採りすぎたおかげで、整理がたいへんになった。ラオスはいま乾期で虫が少ないはずだが、それでもいないわけではない。いればつい採る。それが虫屋の癖である。だから採った虫の数が増える。

 守銭奴の気持ちがわかった。金を使わないくせに、金を貯める。

 なぜ貯めるのか、本人にもよくわからないのであろう。金なんか、貯めたってしょうがない。使わなければ、金を持った意味がない。

 虫だって同じである。いれば採るから、どんどん溜まる。なぜ虫なんか貯めるかって、自分でもよくわからない。とりあえず研究用だが、これだけあったら、死ぬまで十二分である。顕微鏡で丹念に見るなら、一匹見てりゃあ、数日が潰れる。

 ともあれ、採った虫の整理とはどういうことか。

 そもそも採った虫をどう扱うのか。

 採った虫は現場で毒瓶で殺す

 酢酸エチルとか、亜硫酸ガスを使う。最近は色が変わらないからいいというので、亜硫酸ガスを使うことが多い。酢酸エチルと違って、虫が濡れにくく、汚れないという利点もある。

 むろん、欠点もある、

これはゲンゴロウ

これはゲンゴロウ

 ゾウムシには利きが遅い。虫が硬くなりやすい。長く入れておくと、色が変わる虫がある。毎日、薬を入れ替えなきゃならない。酢酸エチルなら、しばらく入れっぱなしで済む。ただし液体だから、外国に持っていきにくい。などなど、一長一短、どちらを使うか、そのとき、その人の都合によるというしかない。

 ゲンゴロウみたいに黒字に黄色の紋が多い虫なら、どうしたって亜硫酸ガスである。色がきれいに残る。

 ゾウムシなら、酢酸エチルの毒瓶に放り込んでおけばいい。色なんて、どうだっていいのが多いからである。全体が黒かったら、関係ない。

さまざまなゾウムシ

さまざまなゾウムシ

 いまでは両方用意していくことが多くなったから、いささか面倒くさい。面倒くさい人には、酢酸エチルを勧める。

 毒瓶に入った虫は、しばらくしたら、たとえば採集場所を変えたら、瓶から出す。毒瓶を多数用意する手もあるが、そのうちどこで採った虫を入れた瓶か、わからなくなる。

チャックつきのビニール袋に入れられた虫たち

チャックつきのビニール袋に入れられた虫たち

 私は毒瓶から出した虫を、チャックつきのビニール袋に入れて、データを書いて中に入れておく。念のためだが、鉛筆じゃないと、書いたデータが消える恐れがある。ヒゲボソゾウムシのように、うっかりすると数キロ場所を変えただけで採れる種類が違ってくるものがあるのに、いまは車で移動するから、一日の移動距離が長い。データをまめにとっておかないと、あとで困る。

 

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「ラオスで虫捕り」の著者

養老 孟司

養老 孟司(ようろう・たけし)

東京大学名誉教授

解剖学者/作家/昆虫研究家。1937年生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室へ。95年東京大学医学部教授を退官し、その後北里大学教授に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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